第3章 今日も夜が来る/小話集め
14.二人で熱中したゲーム/イルミ
私は俗に言う“お嬢様”
華道茶道 一般教養から身のこなし、英才教育に花嫁修業まで 一流の知識を叩き込まれ育てられてきた。
「もっと積極的にきていいよ」
「…は、恥ずかしい…」
「ならオレの勝ちでいい?」
「…ダメ…」
そういえばキスの仕方は誰も教えてくれなかった。あの日以来 四六時中 あの時の事しか考えられなくなっている。
「そんなんじゃ取れないよ。コレ」
たかがサクランボの種、無価値なモノを取り合うゲームになぜあんなに熱中したんだろう。