第3章 今日も夜が来る/小話集め
11.お揃いのアクセサリー/ヒソカ
私の腕を見る時、腫物を見るような他人視線には慣れている。別に理由なんかない、それをすると落ち着くし自信が持てるだけ。自傷行為はお気に入りのアクセサリーみたいなものだ。
「珍しい?リスカするコは」
「いや」
顔をニヤつかせる男の手元には いつの間にかトランプがある。
「切る瞬間、ボクも好き」
「え、」
「こうやって」
トランプが彼の手首をすべるとそこには鮮血。見慣れた赤が興奮要素となり 俄かに胸が高揚する。
「……どうやったの?」
「タネも仕掛けもございまセン」
瞬きを挟んだ次の瞬間には彼の手は元通りだった。誤魔化していたけどあの人も 私と同じタイプの人間なのかな。