第3章 今日も夜が来る/小話集め
10.貼ってもらった絆創膏/シャルナーク
「痛っ」
厨房で食材カットをしていたらお約束、スパッとやってしまった。
「あーあーあー 何やってんの 今日は追込みでクソ忙しいのに」
「ごめんなさい…」
彼は金髪をガシガシかき悪態をつきながらも どこからか絆創膏を持ってきて私の指に貼ってくれる。雑に扱っているようでも 貼られた絆創膏には一切のヨレもなくピタリと私の傷を覆っていた。
彼をよく知っているが故に その的確な対応と親切心が恐ろしい。
「言っておくけど料理提供のスピードと質落ちたら減給だから」
やっぱり彼はスパルタだ。