第2章 同業者/夢主は元お客様
「……アタシはヒソカの言うこと、わからないでもない」
「クク、どーも」
「だからアタシはイルミが好き」
「それ 金が好き。の間違いだよね」
「もう 拗ねないで?お金持ってれば誰でもいいってワケじゃない」
「はいはい」
度々タバコを咥えてイルミは顎先で着火を促す。嬢は満足気に両手でライターの火をつける。
ヒソカはその様子を喉元で笑い、隣の女に問い掛けた。
「世の中の人間は間違ってると思わないかい?愛って金で買えるだろ」
「買える。今度ヒソカの愛を買いに行くね」
「待ってるよ。…かわりに今夜はボクが買ってあげる」
ヒソカは灰皿にタバコの灰を落とした。
小一時間程飲んだ後、ヒソカとともに店を出た。
度々胸元で振動する携帯電話を取り出し その内容を確認する。ヒソカはその様子を蔑む視線で見ていた。
「ねぇさっきから誰?…ホントに本命?」
「違うってば。しつこいね」
「必死に営業かけないといけないほど今月の数字がアブナイの?固定増員か新規開拓?」
「それも外れ」
いつになく詮索してくるヒソカにしれっと返事を返した。
ヒソカの興味の矛先はわからないが 自身の欲求には素直な奴であるし 彼にとって「興味を惹かれる」という要素を排除しないことにはこの無意味なやり取りは続きそうである。
仕方なく、明るく光る携帯電話のメール画面をヒソカの目の前に突き出す。ヒソカの眉がふと上にあがった。
『今日5本も指名もらったよ($+U3U+)♪+.がんばったあ~』
「成る程。業務報告か」
「そういうこと」
「話が見えてきた………この世界よくあることだけど姫のおもりも大変だねぇ」
「ホントだよ。このバカのせいで余計な手間が増えただけ」
イルミは愚痴っぽく言いながら溜息をつく。そして暗いのに明るい キラキラした夜の街へ歩き出した。
ヒソカは余裕の顔のまま 髪を靡かせるイルミの背中に声をかけた。
「その姫の所に行くのかい?」
「うん」
「その前にもう一軒行こうよ」
「いい」
「ま、プロに会うなら必要ないか」
「お前話聞いてた?そういうんじゃないってば」