第1章 ホスト遊び/夢主はお客様
イルミは始めて来た時と同じように席の前で片膝をついた。
その姿を見ただけで私はドクンと心臓が跳ねた。
緊張して急に酔いが覚めて行く思いだった。
「ご指名どうも。どっち?オレを呼んだの」
「はぁ?!」
苛立つような、リネルさんの高い声が響いた。
イルミはリネルさんの声に反応すると、リネルさんの隣に腰を下ろしてしまった。
並ぶと驚くほど絵になる2人を見て、私の心臓は鷲掴みにされたように苦しくなった。
ヒソカとリネルさんも美男美女でお似合いだったけど、細っそりしててモデルみたいなリネルさんにはイルミの方が似合うかもって思った。
もう一度イルミに会いたいって思った。
そして今、こうして会えた。
私はそれで満足するはずだった。
なのに私は少しも満足出来ないどころか、心は嫉妬でいっぱいだった。
相手はホスト…私ほんとどうかしてる…
わかっていても私の気持ちは止まらなかった。
リネルさんはイルミから身体をさっと離すと吸っていたタバコをイルミの首筋に向けた。
イルミを睨み付けていた。
美人はキツイ顔も似合うんだな…
ヤダ。
そんな顔でイルミのこと見ないで。
お願いだから。
私ですら魅力的だと思うんだから、ホストだけど男の人だもん イルミに色んな顔見せたりしないでって心の中で叫んでた。