第1章 ホスト遊び/夢主はお客様
その後は変わるがわる色んなホストが席についてくれた。
まるで女の子みたいな綺麗なホストだったりやたら会話が面白い芸人さんみたいなホストだったり。
そんなこんなで、私の初めてのホストクラブデビューはあっという間に過ぎてしまって そろそろチェックの時間が近づいた。
仕事中や暇な休日は時間が全然過ぎなくて困るのに。
楽しい時間は早いってほんとみたい。
出来ればもう一回くらいイルミに会いたいなって思ってたんだけど…
そんな頃、シャルが席にやって来て相変わらずの笑顔で言った。
「今日はありがとうね2人とも!送り誰にする?」
「ヒソカ!」
リネルさんは即答してたけど、私はその意味がよくわかんなくて。
シャルに聞いてみた。
「送り指名って言って 気に入ったホストに帰りの見送りしてもらえるんだよ。ユイはどうする?今なら時間あるしオレでもいいよ?」
……そうなんだ!
私はシャルの言葉を聞いて心の中で万歳をした!!
ここでイルミって言えばもう一度会えるってことだから。
でも、素直にそうは言えなくて。
リネルさんとシャルの前で言うのは公開告白をさせられる気分で、当たり前だけどそれがイルミにも伝わる訳だしハッキリは言えなくて…
いい黙っているとシャルが私の隣にすっと腰を下ろして 私の顔を覗き込んできた。
「恥ずかしがり屋だねーユイは」
「えっ、…」
「……素直に言えばいいのに」
シャルの声は優しかった。
綺麗な顔が目の前に広がった。
シャルとは沢山話したし、色々ドキドキさせられたけど嫌な訳じゃなかった。
もう今日はシャルでもいいかな、なんて思った。
するとシャルは私の耳元で あっさり正確を言い当ててしまう。
「“イルミ”……でしょ?ユイは」
「えっ……!」
「見ててバレバレ。…ほーんと妬けるよねー」
シャルはさっと私から離れると、いつもの笑顔になる。
「じゃあ少しだけ待っててね。すぐ呼んでくる」
そういうと私の返事も聞かず シャルは席を離れていってしまった。