第1章 ホスト遊び/夢主はお客様
そんな時に 今ではすっかり頭から離れていたシャルが相変わらずの笑顔と共に私達の席にやって来た。
「や!2人とも楽しんでる?」
「あ、シャル……っ」
「リネルは…聞くまでもないか。ユイは?楽しい?」
シャルは私の頭をふわりと撫でながら言った。
…改めて見るとほんとに輝くイケメンだ。
私は最初あれだけシャルにドキドキしておきながら、今こうして当たり前にイルミに肩を抱かれている姿を見られるのが悪いような気がしていた。
「楽しいって言うか…新鮮、かな。色々」
「何それ。楽しいって言ってよ」
「あはは!新鮮かぁ、んーやっぱ可愛い!ユイ」
「…え…!?」
シャルは私の頬を両手で掴むと額をツンと合わせてきた。
こっちがドギマギするよりも早く シャルは私からサッと顔を起こしてしまう。
し、心臓が…もたない。
シャルはイルミとヒソカにこそっと何か耳打ちをした後、にっこり微笑んで言った。
「だいぶ待たせちゃったけどこれからクロロが来るからね」
例のNO1ホスト…すっかり忘れてた。
ヒソカは自分に抱きついていたリネルさんをそっと揺り起こし耳元で言った。
「…聞いたかいリネル?クロロ来るって。起きて?」
「…ん、…クロロ?」
それを聞くとぱたんと起き上がるリネルさんは、頬を膨らませてシャルに詰め寄った。
「…もぉー!シャル遅いっ!どうせそろそろ延長付くんでしょっ!?」
「ごめんごめん。…内緒で一杯付けるからさ、許して?」
「…足りないっ 何かボトル入れて」
「ええ?!さすがにそれはウチが潰れちゃうって!」
ただの酔っ払いにしか見えなかったリネルさんだけど、ちゃんと時間とか気にしてたんだって感心した。
イルミの言う“いい客”っていうのがわかる気がした。
突如、目の前のやり取りから引き戻された。
イルミが私の肩から頭に掌を回し髪を撫でてくる、そして私を引き寄せると、耳に軽いキスをしてから言った。
「じゃあね。ユイ、ごちそうさま」
イルミは手元のグラスを一気に飲み干すと素早く立ち上がり、ヒソカと共に私達の席を立った。
リネルさんはシャルにずっと文句を言ってたけど、私はあっさり去って行くイルミが気になって…
その後ろ姿を見てた。