第6章 大人になる方法/イルミ/+アルファ夢主初体験裏
イルミは静かに身体を起こす。ベッドの上で胡坐状態になり 1人落ち着いてしまった。
「にしても想像以上だな。狭過ぎる」
「…ご、ごめんなさい…」
「謝らなくていいよ ユイのせいじゃないし。オレも無理やり痛い思いさせてまでしようとは思わないから」
「…でも…」
イルミはふうと息をつく。
ユイもゆるりと身体を起こし、目の前のイルミを複雑な面持ちで見つめた。
急に妙な空気が流れる。
「どうしようか」
「え?」
「コレ」
「これ?」
黒目を下に向けるイルミの視線を追う。思わずユイの眉が上がった。
自分のことに精一杯でイルミを気遣う余裕なんてこれっぽっちもなかった。ズボンを下から押し上げている存在を知らないわけではないし 興奮を覚えればどういった変化が現れるかくらいは理解しているつもりだ。とはいえ どうすべきかと持ち掛けられた所で 何と返答すべきかはひたすらわからないだけだった。
目だけがそこに釘付けになる。
「ど、どーすればいいの……?」
「ね。どうしよう」
「ごめん…あたしが その…ちゃんと出来ないせいで…」
「ユイのせいではないってば」
「でも……………、」
ここはなんと答えるべきなのか、ユイにはやはりわからない。険しい顔のまま固まるしかなかった。
「ユイ オナニーって知ってる?」
気まずい空間を破るのは 同じく気まずい質問だった。ましてや質問の意図がよくわからない。
言葉を聞いたことくらいはある。ただ、具体的に詳しくは知らないし ユイにとってはあまり肯定的な事柄として頭の中にインプットされてはいない。
小声で返答をした。
「し 知ってるような、知らないような…」
「自慰行為ね 1人エッチ。ズリセンなんて言い方もある。わかる?」
「わかるような、わからないような…」
「出しておかないとさすがにユイのこと襲いたくなるし。風呂場ででもヌこうかと思ったけどこの状況でそれも寂しいしね、ユイの前でシていい?」
「へ?!」
とんでもない事を言い出すイルミの前で ぱくぱく口を泳がせた。