第1章 ホスト遊び/夢主はお客様
ホストってやっぱりタバコ吸うイメージあるし、私もついイルミのスーツの胸元に目を向けた。
イルミはすぐにそれに気付いて 私の顔を覗き込んで聞いてきた。
「吸いたいの?ユイも」
「私は吸わないよ。…あ、でも吸っていいよ?」
吸う人は回りが吸ってたらやっぱり吸いたいんじゃないかなーって気遣いのつもりだった。
イルミはタバコの箱を取り出すとそれをヒソカにぽんと投げた。
「ユイが吸わないならいい。オレも吸わない」
「…別に、気にしなくていいのに…」
箱を受け取ったヒソカはニヤリと笑ってた。
それをそのままリネルさんに手渡した。
「ラッキー♡イルミはいいタバコ吸ってるからね」
「あ、ほんとだぁ高いやつ!無愛想なのに結構稼いでるんだね」
「まあね。うちの店じゃそこそこ」
「あははっ!コアなお客さん掴んでそうだよねー!」
ふとリネルさんがヒソカから身体を起こして、前のめりになってイルミを笑顔で見つめてくる。
その体勢…胸の谷間がちらっと見えて私の方がなんか気まずい。
「うふふ 面白いねイルミって。ねぇ名刺頂戴」
「いいよ」
イルミが取り出した名刺を受け取るとリネルさんはそれをちらりとだけ見て、睫毛の長い瞳をくるんと丸めていた。
「へぇー!ゾルディックって有名だよね行ったことないけど。今度行ってみようかなぁ」
「いいよ。オレ指名してくれたら割引き入れてあげる」
「ダーメ 行かせないよリネル」
ヒソカはリネルさんの腰を後ろから抱きすくめると リネルさんの手からイルミの名刺をさっと奪ってテーブルに裏返しに置いた。
新人研修で習ったけど名刺って確かその人の顔だからそんな扱いは御法度なんじゃないだろうか…
夜の世界では違うのかな?
ヒソカは再び自分の胸にリネルさんを沈めていた。
「ウソだよー 行かないよー…」
リネルさんは、ヒソカに抱き締められて幸せそうな顔してた。
リネルさんがキレイでモテるのに 何故特定の彼氏を作らないのかわかった気がした。