第6章 大人になる方法/イルミ/+アルファ夢主初体験裏
服をたくし上げられた所で ハッと我に返る。既に背中のホックも外されているし これでは胸が丸見えだ。服の裾を掴み 伸びるほど下に引き戻した。
「やだ …だめっ」
「またそれ?」
「だって恥ずかしいよっ…見せる程のものでもないし」
「それを言ったらこういうコトを堂々と出来る人間はごく限られると思うけどね」
度々服を捲られる。ユイは身体を大きく捩り 必死の抵抗を見せた。
「ダメっ ダメダメダメダメダメっ!」
「そこまでくるとさすがに面倒くさいよユイ」
「だって…やだ 脱げないっ 見ないで」
「なら先にオレが脱ごうか」
「えっ?」
「それならお互い様だしね」
イルミは素早く身体を立て、両手を襟元へ近付ける。淀みなく言ってはくれるが 果たしてそんなに簡単なのだろうか。ユイものそりと身体を起こし、訝しげな顔付きでイルミを凝視する。
「なに?」
「あ、いや。……」
「見たことある?男の裸」
「……TVで、芸人のダイエット企画とか……」
「そう。なら安心だ」
イルミは 中途まで留まっているシャツのボタンを 更にするりと解いてゆく。はっきり見えてくる鎖骨が深く影を刻む。そのせいか ちらりと覗く胸筋が より一層際立って見える。
「やっぱりユイにしてもらおうかな」
「へっ…?!」
「せっかくだし」
半分ほど外した後に イルミの視線が飛んできた。予期せぬ展開にはつい腑抜けた声がでた。
イルミはユイの腕を引く。くたりと力を失った身体は簡単にイルミに従い また距離が近くなる。
「ボタン外して」
指示された所でどうすればいいのかわからなかった。
薄暗い視界に入り込むのは 黒っぽいシャツとやたら白く見えるイルミの素肌、あとは光沢のあるボタン。コントラストが妙になまめかしい。
「イル兄…」
「なに?」
「ボタンてどうやって外すんだっけ」
「待ってよ。そんな次元から?」
「……、冗談です」
「そ。よかった そうやってリラックスしてね」
謎のジョークはリラックスによるものではなく、多分に 少しでもそうなる為の一言だった筈だが。髪に指を絡めながら そこへキスまでくれるイルミのせいで 心は全く落ち着けなかった。