第6章 大人になる方法/イルミ/+アルファ夢主初体験裏
「あと乗り気しない理由はもう一つあって」
「なに…?」
「ユイ相手にオレ勃つのかな、って」
「たっ たつ?!?!」
「無防備過ぎて毒気抜かれるというかオンナに見えないというか。前に酔って鍵なくしたユイがオレの部屋きて下着見えそうなほど肩だしてひっくり返って寝てても“バカなんじゃないの?”くらいにしか思えなくて」
「しっ してないよ!そんなこと!!」
「してたよ。スタートしてみたものの結局勃ちませんでした なんてそれこそシラケるなんてもんじゃないし」
「してないってば!!!」
「でもさ、」
身体が急に包まれる。せっかく和んだ空気が一変してしまった。
耳元にイルミの声が届く。
「こうしてるとユイも女のコなんだなって思う」
「………」
「身体の感触とか匂いとか」
「………」
「そんなに緊張しなくていいよ。もっとリラックスして」
「………」
出来るわけがない、と本気で思った。さらさら髪を梳く指は わざとなのではなかろうか。
胸に埋められると言葉なんかすぐに出なくなってしまう。イルミの身体は思ったよりも温かい、大きな腕に抱き締められて 初めてそれを知った。
「怖い?」
「……っこわくない!緊張するだけ」
「なら少しづつ進めていい?」
「っ」
あえて質問をする意味はなかったように思う。そしてこれも流れ作業の一旦なんだろうか、そう感じるくらいに一瞬だった。
頬を撫でられたかと思うと、触れる程度に優しく 唇を重ねられていた。
「…今…っキスした」
「うん」
ファーストキスはあまりにも刹那に終わり 目を瞑る間もなかった。それでも事実を頭で受け入れると 顔から火が出そうな程 恥ずかしくなるもので、ぽかんと空いた口はなかなか塞がらなかった。
一旦状況を整理したいし離してくれればいいものを イルミにそんな気はないようで ピタリと止まったまま こちらをじっと伺っている。そういえば こんなに近くで見つめ合うのも初めてで、このままでは心臓が壊れてしまいそうだ。
「もう一回していい?」
「だ だめっ」
「どうして?」
「だって…なんか は、恥ずかしいし」