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〈H×H パロ〉ホストクラブ【幻影旅団】

第6章 大人になる方法/イルミ/+アルファ夢主初体験裏


つい大きな声が出た。覚悟を持って今ここにいるのだから それは疑って欲しくなかった。戸惑いを助長させるだけの意思の再確認も必要ない。

それに消極的な迷いを含む台詞なんてイルミらしくないと思う。ユイの知るイルミは日頃から卒のない大人な訳で 今日だってそのスマートなリードでもって 未知の時間へ連れていって欲しかった。

「あたしは、…あたしはイル兄がいいの!」

「もっと自分を大事にすればいいのに」

「大事にしてるよ!だって、…」

この先を言うのも今日が初めてではない。のらりくらりとはぐらかされたままの告白の結末はわかっているつもりだ。不毛な初恋は走り出す前から 実りそうもない。

わかっていて尚 自分に正直に進みたいだけだった。

「あたしはイル兄のことが…その…」

「見る目がないね ユイは」

「…っ いいもん別に。だってイル兄が、イル兄のことが……………好きなんだもん」


落ちてくる答えは弱い溜息だった。
諦めに似たイルミの吐息は やはり否定的に映り 本日の一世一代の決意さえも拒否されたように見えてしまう。

「正直言うとさ、ユイにはそれを言われたくなかった」

「ど、どして…?」

ここで初めて顔を上げる。イルミは案の定 余裕たっぷりの涼やかな顔のままだった。

「オレにとって女のコの告白は そのコの気持ちを測るバロメーターか もしくは挨拶と変わらない」

「………」

「ユイがこんなに緊張しながら精一杯言ってくれてるのはわかってるんだけど」

「………」

「それを聞いたところで心に響かないって言うか、何も感じないって言うか」

「………」

「むしろ客のコならこの先更にどう攻めようかって頭が働くんだけど」

「………」

「引いてる?さすがに」

「…そんなこと、ない…」

返すべき言葉もわからなかった。イルミの仕事は大方理解しているつもりだったが 実体は想像以上、あまりにも殺伐としているらしかった。呆れるも怒るも通り越し ただただ唖然とするだけだった。


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