第6章 大人になる方法/イルミ/+アルファ夢主初体験裏
話しているだけで息が触れてしまいそうで顔を逸らそうとしたが、それは叶わなかった。手の平で顔を包まれれば否応なしに イルミしか見えなくなる。
「ダメだよ 逃げたら」
「だって、…ホントにっ」
「しようよユイ」
「ッ」
ますます近付く距離が 先の展開を語る。今度は反射的にきつく目を閉じた。
二度目は少し長めだったように思う。それでもまだ この恥ずかしいだけの行為に世の中の人達はなぜ酔いしれているのか、ユイには理解できなかった。
「はあ はあ…」
「息はしてていいよ」
「だって わかんない…出来ない どうしよう…」
「反応が新鮮すぎて オレもどうしようって感じだな」
せっかく呼吸を整えていたのに 今度は確認も入らなかった。
「ユイ」
名前を呼ばれ 泳ぐ目を無理やりに拾われる。三度目は 顔を傾け角度をつけて、そしてほんのり強めに 唇を押し重ねられた。
啄ばむように何度もゆっくり、少しも読めない緩急をつけて。触れては離れる際に いかにもキスらしい音がする。これはこれでどう応えたらいいのかわからなかった。
「っ…」
あっという間に頬や額、顔中の様々場所にキスを落とされる。 イルミの表情を下手に伺ってみては逃げるように目を閉じる。それを何度も繰り返していた。
いよいよ優しいキスだけではすまないようで 首筋につ、と舌が触れる。あまりにもくすぐったくて 大きく腰が引けた。それをイルミが見過ごしてくれる訳もなく 片手で背中を押さえられた。
首元に頭を埋められていると 顎や頬に髪が触れ 緊張だけがますます燻ってくる。
「っ…くすぐったい」
「弱いの?ここ」
「知らな…くすぐったくて、なんか…」
顔を背け 逃げようとすると、次は耳元へ 暖かい唇が触れてくる。ピクンと肩が揺れた。
「…、…っ」
「この辺て性感帯なんだけど」
「……」
「耳の方が感度良さそうだね」
そんな場所で囁かれるだけで ゾクリと何かが背筋を走る。ゆっくり耳朶を舐められ 耳の形を舌先で辿られた。油断をすると 身体中に鳥肌が立ちそうで、思わず身を小さくする。