第6章 大人になる方法/イルミ/+アルファ夢主初体験裏
薄暗く小綺麗で ベッドとテレビがやたらと大きい窓のない部屋。
ユイにとって こういったホテルに異性と2人で入るのは実質2度目になる。ただ今回は 仕方なしに利用した一回目とは明らかに目的が違っていた。
“同意を持って、そういうつもりで、ここへ来た。”
何度も頭に言い聞かせているのに 不安と緊張ばかりが押し寄せユイの胸を掻き乱す。ひたすら固まる表情は それをあからさまに物語っていた。
「…イル、に…」
そもそも部屋の中に足を踏み入れてから まだ1分もたっていない。入り口ドアに近い壁際へ背中を貼り付けたまま ユイは小さくイルミを呼んだ。別に用や言いたいことがあった訳でもなかった。
「どうかした?」
「…っ ううん、何でもない」
こちらは緊張で今にも口から心臓が出そうだというのにイルミはいたっていつものまま。不必要な程ムーディーな部屋の中に 足を進めながら、腕時計を静かに外していた。
「入ったら?」
「…………うん」
すでに大きなベッドに腰掛け、ダークカラーのシャツの袖口ボタンを器用に外す。そんなイルミの姿を見つめた。
そういえば 着ていたはずのスーツの上着ジャケットはいつの間に脱いだのだろうか。たんたんと運ばれるイルミの所作は こういった状況への慣れと これからはじまる未知なる世界を浮き彫りにしている気がしてならなかった。
重い足でゆっくりと、イルミの前まで近付いた。
「そういえば先週試験だったんだっけ。どうだった?」
「もちろん 全科目合格点クリア」
「へえ さすが優等生」
「………」
他愛ない話と共に進む流れ作業はまだ続いているようで イルミの両手は次は胸元へ伸びている。俄かに顎を上げボタンを解く仕草、覗く喉仏が急に色気を帯びている。
シャツのボタンを指先で解く、なんて事は父親やクラスの男子がやっているのを何度だって見たことがある。着るとき留めるのだから脱ぐ時は外す、当たり前のことが この場では動揺を煽ってたまらなかった。
「……、」
同調し無意識に、ユイは自身の服の胸元を掴む。今日はどんな下着を着けていたか、なんて自分で自分をますます縛るような事を考えてみた。
「………イル兄」
「なに?」
「こういうのって その、先に脱ぐものなの?」
「え?」
「だって、……」