第1章 ホスト遊び/夢主はお客様
「ヒソカ ユイのグラスが空いてるよ」
私のグラスが空いた時、イルミがグラスを指差してヒソカに言った。
これが例のヘルプのお仕事かと思うと何となく頼むのも悪いような気がしてきた。
別にお酒くらい自分で作ったっていいし。
ヒソカはイルミを見返して眉を下げていた。
「もう それくらいはイルミが作ってあげたらいいだろう?」
「オレはタダじゃやらないよ」
タダじゃやらないってこういう場合はお酒作ってもらうのにもお金かかるってことなのかな…
つい困った顔でヒソカを見ると、ヒソカが私にウインクを投げてきた。
この人はこの人で…色気がありすぎてホントに惜しみのない美男子だな…
「イルミにお願いしてごらん ユイ。ユイのお願いならイルミは聞いてくれるかもしれないよ?」
私は横にいるイルミを見上げてみる。
とりあえず、言われるままにお願いしてみた。
「えと、…イルミ、お酒作って?」
「…………」
「あの、…ダメ、ですか?」
「……仕方ないね。特別だよユイ」
じっと見つめられた後で、イルミはそう言うと無駄のない動作であっという間にお酒を作ってくれた。
私の前に置かれたお酒は、まるで氷の位置すら計算されているんじゃないかってくらいのキレイな黄金比率で つい写メでも撮ってしまいたいくらいだった。
「ユイ弱そうだから、ちょっと薄め」
「…ありがとう」
耳元でこそっと言われた。
ちょっと態度悪くてもやっぱりホスト、気が利くんだなぁって思った。