第5章 square/夢主2人/キャバ嬢/裏
「……イルミ」
「なに?」
「……イルミと一緒にお風呂に入りたい」
「風呂?いいけど」
「ホント?」
「でもヒソカとは入りたくないな」
空瓶が棚に置かれ コンと微かな音がした。イルミの目の先には 堂々と上半身の肉体美を晒すヒソカがいる。
リオンはむくれ顔で ヒソカに近付いた。
「もう ヒソカ!何で勝手に脱いでるのっ」
「今は服にすら縛られたくない気分なんだ」
「意味わかんないっ レディーファーストする気はないの?」
「オンとオフは区切るタイプでねぇ」
「絶対嘘でしょソレっ」
ヒソカは不敵なる笑みの下、余裕の仕草で頭をぽんぽん撫で あっさりその場を過ぎた。どこか刺激のある香水の匂いが残る。
だが今日は、リオンとて簡単には引き下がれない。バスルームでエロティックなムードを盛り上げるならば 誰かが使った後の浴室では雰囲気は半減以下に萎んでしまう。
「ヒソカっ!!」
脱衣場で あっという間に下着一枚になっているヒソカは全くの聞く耳持たず、出て行けと言うでもなく リオンを無視をしたまま。鏡に顔を寄せ派手色の前髪をくしゃくしゃ崩していた。
リオンは構わず ヒソカに近付いた。
「先に使わせてよ お願いだから」
「ダーメ♡ どうせイケナイ事する気だろ」
「……イジワル~っ」
「そうだ いいことを思い付いたよ」
一瞬横目を向けられ 急に身体が軽くなる。ふわりと持ち上げられたリオンは、大きな鏡を背に 洗面台に座らされていた。
「そんなに入りたいならボクと入る?」
にこりと笑うヒソカと視線が噛み合った。台を軸に両腕で身体を囲われた、そして図々しくも ヒソカは柔胸に顎を落としてくるではないか。
咄嗟のことで ぱちりと瞳を大きくするものの、すぐに元の怒り顔へ表情を戻した。
「なんでヒソカと。アタシはイルミと入りたいの」
「ボクじゃ不服かい?」
「当たり前!大体ヒソカはルナとすればいいでしょ?!」
「彼女今夜はご機嫌ナナメみたいだし。噛み付かれそうで怖くって」
「嘘ばっか……っ、ちょちょちょ、 ちょっと!!!」