第4章 +アルファ/夢主はイルミの幼馴染
甘やかすにもイルミなりの線引きはあるようだ、ユイは少しだけ胸を撫で下ろした。
「またイル兄に煙草たくさん貢がなきゃなぁ…」
「ならカートンで」
「カートン?カートンて何?」
「知らないなら箱でいい」
「でもこれ親になんて言おう。いきなり新しい服とかスマホとか、さすがに驚かれるし下手したら怒られそう…」
「その辺は任せる。起点の効く言い訳も今後大事だよ」
早速メールを、とも思うが 何からすればいいのかすらわからなかった。
「文字の入力の仕方すらよくわかんないんだけど…」
「その辺は自分で調べてよ。説明書ダウンロードするとか問合せ先に聞くとかネットのカキコミ使うとかさ」
新しい携帯電話が嬉しいのは事実だがあまりの操作性の変わりようについていけないのもまた事実、難しい顔でスマホを睨んでいると「ちょっと貸して」と 上から携帯を抜き取られた。
「はい」
「?…何したの?」
「いきなり連絡先の登録件数ゼロっていうのも寂しいと思うから」
「え」
「ミルキの番号を登録しておいた」
二三度まばたきを繰り返した後、ユイは首を傾げてイルミの顔を伺った。
「なんでミルキ…?」
「こういう機械の扱い詳しいし。どうしてもわからないことがあったら聞きなよ」
「……。イル兄の連絡先は教えてくれないの?あたしも春からここで暮らす事になるし もし何かあった時に相談とか出来たら心強いんだけど…」
「オレは暇じゃないし。やたら掛けてこられても対応しきれないよ」
「なら連絡するのはいざって言う時だけにするから」
「女のコってすぐそれ言うし信憑性ないから却下」