第7章 揺れるびいどろ、恋ノ花模様 * 織田信長
「折角の林檎飴、要らんのか…?」
「っ……だ、って…のぶ、様が……」
「ならば、理由は解ったのか。こうされる理由が」
「わ、かんな……っ」
(……まあ、当然だろう)
解らないから、美依は無防備なのだ。
無自覚に魅力を晒し、男の視線を惹き付けていたのだから。
だが、そうする事で俺には劣情が生まれた。
酷く醜く、みっともない黒い感情。
周囲の男が美依を愛らしく思うのが許せず、それに気づかない美依にも焦れったく感じた。
まさか、俺がこんな感情を抱くとは…
美依と出会ってたくさんの"新しい自分"を見てきたけれど、これはあまりに格好悪い。
それでも、抱かずにはいれなかった。
その感情の名は、
────『嫉妬』だ
「貴様は愛らしすぎる、という事だ」
「え……?」
「露店を見ている時、周りまで気づいていたか?男達が貴様を…焦がれたような目で見ていた」
「……っあ」
太ももからまた手を滑らせ、今度は浴衣越しではなく直接尻を撫でる。
その肉を掴み上げ、やわやわと揉んで…
柔らかな感触を感じつつ、唇で耳元を甘く噛んだ。
耳の縁を食み、舌先を這わせて刺激してやれば、美依は堪えきれないといった様子で吐息を漏らす。
このようにされて、恥ずかしいか?
外で涙目になるほど感じて…
辱められている意味は理解したのか。
俺が再度耳に言葉を吹き込めば、美依は俯き、俺にしがみつきながら唇を噛んだ。
何となくは理解したような様子に、俺はようやく尻から手を離してやり、乱れた浴衣も直してやる。
すると、美依は立っていられないくなったのか、俺にすがるように、もたれかかってきて…
その真っ赤に濡れた目で見上げてきた。
「だから、不機嫌だったんですか?」
「……そうだ」
「男の人が私を見ていたの…嫌だったんですか?」
「当たり前だろう」
「それって、嫉……っ……」
気持ちを当てられそうになり、人差し指で唇を塞ぐ。
そう面と向かっては言われたくはないな。
確かにその通りではあるのだが、自尊心もあるし。
俺は見上げる美依の瞼にそっと口づけ…
『言うな』と苦笑してみせた。