第6章 エゴイズムな純情戀歌《後編》* 豊臣秀吉
「秀吉さん……」
「ん?」
「告白の返事…してもいい?」
「……ああ」
「あのね……」
私は顔を上げ、必死に秀吉さんを見つめた。
秀吉さんは少し驚いたように目を輝かせ、私を見下ろしてきて。
そのまま、私は背伸びをし…
ちゅっ、と音を立てて秀吉さんの唇を啄んだ。
「……っ!」
秀吉さんが目を見開く。
もう、そんな顔ですら愛しい。
何もかもが───………
すきですきで、堪らない。
「私も、秀吉さんの事がすき」
「えっ……」
「秀吉さんは兄じゃないよ。一人の男の人として…私は秀吉さんがすきだよ」
「……っ」
「お願い、我慢しないで」
ああ、私はエゴイストだ。
こんなの自己中心的で、自分の事しか考えてない。
でも、これが私の想いだ。
自分勝手でも何でも───………
「────私、秀吉さんに触れてほしいの」
私の赤裸々な気持ち。
貴方に染められた、純な私の恋心。
「美依……っ」
「あっ……」
瞬間、私は秀吉さんに搔き抱かれた。
背中に腕が回され、ぎゅっと引き寄せられて。
胸に耳が当たってみれば、秀吉さんの心臓がものすごく早く鼓動を打っていた。
ああ、緊張していたのは私だけじゃなかった。
怪我をしていない方の手で、私も秀吉さんの背中を引き寄せる。
その硬い身体の感触が…
何故だか、とっても嬉しかった。
「お前、俺が部屋で何してたか、解ってたんだろ」
「何となく…察した」
「ははっ、そっか。情けないな」
「……っそんな事ないよ!」
「美依……」
「……っ」
少しだけ身体を離した秀吉さんが、私の顎を指で掬う。
親指で下唇をなぞられ…
そして押し開かれたら、無条件にコクリと喉が鳴った。
「触れて、いいか?」
「う、うん……」
「────好きだ、美依」
「んっ……」
そのまま重なった唇は…
必然的に訪れる甘い時間の始まりだった。
深く絡められ、思考が溶けていく。
トロトロと蕩けるように…
私を、
何も考えられなくさせていく。