• テキストサイズ

【イケメン戦国】新篇 燃ゆる華恋の乱☪︎華蝶月伝

第5章 エゴイズムな純情戀歌《前編》* 豊臣秀吉







────欲 シ イ オ マ エ ガ






「はぁっ、はぁっ……」

「……っ美依……!」

「ひ…で、よ……」




欲に駆られた目で見つめれば、美依も何だか熱っぽい目で見つめ返してくる。
もしかしたら、同じ思いでいるのかも。
そんな風に期待して、再度唇を重ねようとした。

その時。






「秀吉様、美依様、大丈夫ですか…?!」






突如、脱衣場の方から聞こえてきた女中の声。
その声で、俺は一気に我に返った。
そうだ、脱衣場には女中も居るんだった。
その事に今更ながらに気が付き、真っ青になる。

まさか、美依の可愛い声まで、向こうまで聞こえていたのではないだろうか。

だが、風呂場の戸は閉めていたし。
多分…『何があった』かまでは察していないはずだ。




「だ、大丈夫だ!だが、美依が少し具合悪くなったようだから、今連れて行く」




俺が少し大きめの声で返すと『かしこまりました!』と焦ったような声で返事が返ってくる。
そのまま俺は、手拭いを美依の躰に掛けてやり…
そして、ひょいと横抱きにして立ち上がった。




「秀吉、さ……」

「美依……」




もう、目も合わせられない。

本当に、
本当に俺は、















────しょうもない、大馬鹿だ…!!















「悪い、美依…本当に悪かった!」


二人で自室に帰り、萌葱色の寝間着に身を包んだ美依を目の前にして、俺は土下座で頭を下げた。

もう、自分が情けないしかない。
欲情に駆られ、美依に手を出した。
美依は利き腕を骨折していて、身動き出来ないのを知っていて…
世話をする所か、野獣の如く襲いかかってしまった。




(そして、自覚した。自分の気持ちを)




それに関しては否定出来ない。
でも、美依は兄としか思っていない男に、湯殿で襲われたんだぞ?

絶対、絶対に嫌われただろう。
もう…何を言われたって反論なんて出来ない。
そう思っていたのに…

美依の唇から零れた言葉は、意外すぎるほど意外なものだった。






/ 346ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp