第4章 蒼き隻眼竜の逆鱗 * 伊達政宗
「ぁんっ…ぁあん、だ、めぇ……!」
「んっ……」
「政宗、政宗ぇ…ぁっ、やめ……!」
「……っ」
嫌がるのは、触れられるのが嫌なのか。
お前は信長様に堕ちたのか。
どんな愛を囁かれた?
どんなに大きな愛をくれたんだ、信長様は。
(美依を想う気持ちは負けないのに)
尖る、
想いが、
蝕む、
劣情が、
酷く心が軋んで…………
イ
タ
イ
────ドンッッッ!!
「────…………!!」
俺が美依の後ろの壁を思いっきり拳で殴ると、美依は瞬時に息を詰めた。
そして、ゆっくりと脚の間から顔を上げる。
美依を見つめたら、美依はびっくりしたような顔つきで俺を見下ろしてきた。
「……俺、お前の夢を見るんだ」
「……政、宗……」
「お前は俺の腕の中で可愛く乱れて…可笑しいだろ、そのくらい、お前に溺れてる」
「……っ」
「愛してるんだよ、美依」
みっともねぇ姿。
こんなの、見られたくもない。
嫉妬に駆られるなんて…格好悪いだろ?
────でも、
「俺はお前に痕を付けた信長様が許せない。お前は俺のもんなのにって…すげぇ馬鹿みたいに嫉妬してる。格好悪いだろ、でもこれも俺だ。お前は、信長様が好きなのか。俺よりも、信長様が────…………」
ぽろり、溢れる本音。
お前に見せたくない、格好悪い姿。
だがお前が見てるのも、間違いなく『俺』だ。
それを曝け出しても…
俺はお前を繋ぎ止めたい。
「政宗、ごめんっ……!」
すると、美依もしゃがみ込み、ふわりと俺を抱き締めてきた。
温かな体温、熱い肌。
どきどきと速い鼓動が聞こえてきて…
俺もその華奢な躰に腕を回し、ぎゅっと抱き締める。
それだけで安心するのか、徐々に頭が冷えてきて。
さすれば、美依がぐすっと鼻を啜った音が聞こえ、続いて震えた声が耳元で聞こえてきた。