第4章 蒼き隻眼竜の逆鱗 * 伊達政宗
「や…っ政宗ぇ…だめっ……!」
「んっ…信長様には、許したんだろ…?」
「ぁっ…違っ……!」
「理由を言えないってそういう意味じゃねぇのか」
「やっ、あ…っそんな、したらぁ……!」
次第に赤く膨れてくる、その花の芽。
こんな事されて感じてるのかよ。
お前、責められてるんだぞ?
唾で濡れたそこを、指で摘んで弄って。
きゅっと引っ張ったら、また美依は思いっきり躰を跳ねさせた。
俺は美依の顔を妖艶に覗き込み…
まるで嘲笑うかのように掠れた声で囁く。
「相変わらず感じやすいのな、お前」
「政、宗……っ」
「信長様の前でもそうだったのか?」
「だから、違うよ……!」
「痕残された人間が言っても、説得力ないよなぁ?」
「……っ」
(……だんまりか、気に食わねぇな)
唇を震わせ、また俯いて何も言わない美依。
そんなに意固地になるから、俺も止まれなくなるんだろう?
何を考えているのか。
ずっと傍にいたのに、全然解らない。
それが悲しくて、また苛立ちを煽る。
もっと責めてやらなきゃ駄目か。
普段素直なくせに…よっぽど隠したい理由があるらしい。
「……っあ、ちょっと……!」
俺が美依の着物の裾を割り、脚の間に膝を入れてさらにはだけさせると、押し黙っていた美依が焦った声を上げた。
剥き出しになった太ももに触れ、撫で上げて。
さすれば躰が熱を上げ、肌も火照っているのがよく解る。
視線をつま先から徐々に上げていくが、脚にも痕らしきものは何も無い。
つまり、首元の一箇所だけだったのか。
それはそれで救いではあるが…
この脚も、信長様が触れたかもと思えば、また心に黒い炎が燃え盛っていく。
「なぁ、美依。信長様と何があった」
「な、何もないよ……っ!」
「痕までつけられたのに?」
「そ、それは…理由があって……!」
「その理由、言えないんだろうが」
「だって……」
美依の言ってる事は無茶苦茶だ。
痕をつけられ『何も無かった』
理由を問えば『それは言えない』
……本当は解ってる。
美依も信長様も裏切る人間ではないと。
だが、この煮え切らない態度が煽るのだ。
『嫉妬』と言うくだらねぇ感情を。