第4章 蒼き隻眼竜の逆鱗 * 伊達政宗
「政宗、私はね……!」
と、美依が何か意を決したように口を開いた。
だが…もう遅い。
俺は美依の言葉を遮るように、その口元に人差し指を当てる。
そして我ながら冷たい笑みを浮かべ…
美依に向かって、これまた冷たい言葉を放った。
「駄目だ、ただの言い訳は聞いてやらない」
「……!」
「……美依」
口元から手を離すと、美依の顎を掬い上げる。
真ん丸く目を瞠り、言葉を失う美依に…
俺は冷艶に言ってやる。
それは───………
剥き出しの、激しく燃ゆる『嫉妬』。
「────悪い子には、お仕置きだ」
「んっっ……!」
俺はそのまま、噛み付くように美依に口づけた。
強引に唇を割り、舌を絡め取って奥まで乱暴にまさぐる。
歯列をなぞり、上顎をくすぐり…
美依の"蕩ける"口づけは熟知しているが、今回はそんなに優しく溶かしてやる気はない。
吐息すら奪うように深く唇を重ねれば…
美依は抵抗するように俺の胸元を押し返してきた。
「んっ…ぁ、んぅ……っっ!」
どうやら息も出来ないらしい。
離そうとする唇に噛みつき、隙間なくぴったり重ねてひたすらに貪る。
次第に美依は俺の胸をどんどんとこぶしで叩いてきたが、その手を捕らえて壁に縫いつけた。
小さな躰を壁に拘束して、身動きすら封じて、その唇から熱を注いでいく。
美依の顔が赤くなり…
瞳が潤んできた所で、俺はようやく離してやった。
唇同士の間には透明な糸が引き、いやらしく光って。
さすれば、美依は急いで酸素を取り込み、浅く荒い息を吐く。
「はぁっ、はぁっ…はぁっ」
「俺の口づけ、お前好きだろ?」
「まさむ……」
「だがな…今回は悦ばす訳にはいかねぇ」
「……っ」
「お前についた他の男の"色"…俺の色に塗り替える」
俺は片手でぐいっと襟元を引っ張った。
首筋の右側、襟で隠れるか隠れないか…のギリギリの場所にあるのは赤い華。
俺じゃない男がつけた…
美依の"所有"を主張するかのような痕。