第23章 拗れた微熱は指先に溶けて《後編》* 石田三成
「あぁぁっっ………!」
その時、美依様が躰を痙攣させて、甘く喘いだ。
ああ、気をやったのだなとすぐに気づいたけれど、割と限界まできていた私は、後先も考えず……
「っ…ん………」
私自身も美依様の脚の間で欲を放った。
息を詰めて腰を震わせ、突き抜けるような快感に襲われてしまえば、美依様の脚がべっとりと汚れ。
男が吐精すれば汚してしまうとよく考えれば解るのに『一緒に果てたい』など馬鹿な事を言ったものだ。
(しまった…後の祭りか)
美依様と抱き合い、荒い息を一緒に整えながら視線を絡ませる。
私の考えていることを察したのか、美依様は赤い顔をしながら困ったように笑い……
『気持ち良かったね』と可愛らしい声で言った。
「……着替えますか、お手伝いしますね」
「うん……ありがとう」
「さすがに秀吉様あたりに怒られてしまいます」
「ふふっ、そうかもね」
悪戯っぽい笑みに変わった貴女もまた可愛い。
私達は顔を見合わせ、また唇を重ねる。
想いを伝えるように、何度も触れ合わせながら……
満ちるような幸せに、胸がいっぱいになった。
昼下がり、気怠げな貴女と想いを交わす。
少し高い体温、焦げるような熱情を蕩かすような睦み合いは私達の関係をより一層強くさせた。
ただ、美依様は風邪を引いていて。
私は口づけたり何だりしていたのだから、その後どうなったかと言うと……
*****
「三成君、お粥作ってきたよー!」
「ありがとうございます、美依様」
褥から上半身を起こすと、美依様がご機嫌の様子で粥を運んできた。
その嬉しそうな姿に若干苦笑してしまうが……
今は体の中に入っている厄を取り除くのが先決だろう。
美依様はあれからすぐに全快し、やっと日常が戻る……と思いきや、今度は私が風邪を引いた。
完全に美依様のが移ったと思われる。
まあ、あれだけ触れ合っていれば当然だし『大丈夫です』の言葉が嘘になってしまって、それは少し申し訳ない。
逆に美依様は私の世話が焼けると上機嫌であるけれど。
張り切る姿が可愛いなぁなんて、結局は何をしていても愛しく思ってしまうのだ。