第23章 拗れた微熱は指先に溶けて《後編》* 石田三成
「あ……」
私は美依様の手を引き、その小さな体をすっぽりと抱き竦めた。
熱いくらいのその身が愛しくて、もっと心ごと抱き締めたいと……そう思った。
貴女が私の為を思ってくれたから。
そうしてくれた貴女自身を、今度は私が。
(沢山想いたい、守ってくださった分だけ)
こんなに愛しく思う貴女を……
めいっぱい愛して癒して差し上げたいのだ。
「み、三成くん…風邪移っちゃうから」
「大丈夫ですよ。ありがとうございます、美依様。私を…一生懸命守ろうとしてくれて」
「っ……」
「そんな貴女を責めてしまった自分を恥ずかしく思います。……まだ、消えていませんね」
そう言って、私は美依様の細い首筋を指で撫でる。
そこにあるのは、私が嫉妬に駆られて無理やり咲かせた赤い華だ。
「こんなに目立つ場所に痕まで付けてしまいました、ごめんなさい」
「いいの、私が悪いんだから。本当にごめんね、三成君」
「お互い様ですね。では、これで仲直りでいかがでしょう」
「うんっ……!」
美依様はそのままふにゃりと笑った。
その顔が可愛くて、心が甘く音を立てる。
次の瞬間には、私は美依様に口づけていた。
唇を割って舌を差し入れたら、美依様の口内はものすごく熱い。
絡め取った舌も、何もかも。
やはり熱があるからか、でも何故かその温度が心地良くて心を煽られる。
「ん……ぁ………」
そして、口づけの合間に愛らしく吐息を漏らすから。
もう堪らなくて、美依様が愛しくて……
抱き締め口づけたまま、私はその小さな体を褥に押し倒した。
覆いかぶさりながらも口づけは止められず、角度を変えて何度も啄んで深く絡めて。
(熱くて……気持ちいい)
病人相手に盛ってしまうなんて、私は本当に駄目な男だ。
熱い吐息を混じらせながら唇を離すと、その間には透明な糸が引く。
その先に……まるで溶けたような、さらに熱に浮かされたような美依様の顔があった。
「みつ、なり、く……」
「ごめんなさい、少しだけ」
「っ……」
「無理は承知です、だから…少しだけ、お願い」
まるで懇願するように見つめたら、美依様は小さく頷く。
もうそれだけで…酷く満たされた気がした。