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【イケメン戦国】新篇 燃ゆる華恋の乱☪︎華蝶月伝

第23章 拗れた微熱は指先に溶けて《後編》* 石田三成




「三成くん……」

「家康様から体調を崩されたと聞きまして……城にいる事は知っていたのですが、その……具合はどうでしょうか」

「っ……」

「……お傍に行っても宜しいですか?」



美依様が小さく頷いたのを確認してから、部屋に足を踏み入れる。
そして、褥の横に静かに座った。
少し気怠げに見える美依様は俯き気味で、でも久しぶりにお顔を拝見できて、舞い上がりそうなほど心が踊る。

(……私には貴女が居なければ駄目だから)

離れてみて、その存在の大きさを改めて知った。
こうして傍に居られる幸せ、絶対に…貴女を離したくない。
『疑って申し訳ありませんでした』
その一言をまず伝えよう。
聞けるようなら、理由を聞いて……と頭の中で掛ける言葉の優先順位を決めていると。
美依様がどこか気弱そうな声で、私より先に謝ってきた。



「……ごめんね、三成君」

「え……?」

「男の人と内緒で会って、それを知れば怒って当然だよね……なのに私、三成君が信じてくれないとか勝手に傷ついたりして」

「……」

「逆の立場だったら同じように三成君を問い詰めてたと思う。ごめん、三成君に秘密を作って、傷つけるようなことして……ごめんなさい」



そのしょんぼりとした言い方。
言いたかった言葉を先に言われてしまい、私は思わず目を見開いた。
男と会っていても、それは私に言えない事情があったからだ。
そんな事も露知らず、私は美依様を責め立て傷つけてしまったのだから。

(貴女は悪くないんですよ、美依様)

私はそっと美依様の小さな手を握る。
それは温かいと言うより熱くて……もしかしたらこの前の一件が原因で体調を崩されたのか。
そんな風に思えて、ずきりと心が軋んだ。



「貴女は何も悪くない、謝らないでください」

「……でも」

「私こそ酷い言い方をして申し訳ありませんでした。隠れて逢引など……よくよく考えれば、美依様がそんな事なさるはずがないのに」

「っ……」

「何か私に言えない理由があったのでしょう?それなのに、あんな風に責めてしまって……本当に申し訳ありません」



ようやく言えた謝罪の言葉。
それだけで、抱えていたモヤのようなものが少し晴れるような気がする。




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