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【イケメン戦国】新篇 燃ゆる華恋の乱☪︎華蝶月伝

第23章 拗れた微熱は指先に溶けて《後編》* 石田三成




すると、家康様は後ろ頭を掻きながら、一つため息をついて。
そのまま、少しぶっきらぼうに言葉を紡いだ。



「……部屋」

「え?」

「美依、今風邪引いて寝込んでる。薬を届けてきた所だから」

「そうなのですか?!」

「話くらいはできるだろ、行ってみればいいんじゃない」



そう言うと、家康様はスタスタと早足で行ってしまった。
『風邪引いて寝込んでる』
それは全く知らない新情報だ。
もしかして……城に居ると解っていても顔すら見れなかったのは、風邪で寝込んでいたからなのだろうか。
それは会えなくて当然だし、むしろそんな状態に気がつかなかった自分が情けない。

(心配だな…見舞いと称して会いに行こう)

会いに行く立派な理由が出来た。
いや、謝りに行くというのもきちんとした理由だけれど、少々会いにくかったのがあるから。
体調を見舞い、そして謝ろう。
出来れば理由をきちんときいて、間違いを正そう。
そう心に決めて、美依様の部屋を目指す。
その足取りは少しだけ軽く……
愛しい人にようやく会えると、沈んだ心が上向きになったのだった。












*****












美依様の部屋の前に着き、私は襖の前で逸る気持ちを抑えるように胸に手を当てる。
どきんどきんと心ノ臓が高鳴って……
自分が酷く緊張しているのだと、その時初めて気がついた。

(ようやく…美依様に会える)

会えなかった数日、とても長かった。
心も落ち込んでいたし、仲直りするきっかけが掴めずに悩んだ。
でも、ようやくお顔が見れる。
体調を見舞い、さりげなく謝るのだ。
私は心にそう決意し、顔を上げた。


「三成です。失礼致します、美依様」


一呼吸置いて部屋の外から声を掛け、ゆっくり襖を開く。
綺麗に整頓された部屋の中には、布団が一組敷かれていて……
そこから美依様が上半身を起こして、驚いたように瞳を真ん丸くさせていた。
よくよく見れば寝間着姿だし、顔も赤い。
やはり具合が悪かったんだな……と思っていれば、美依様が若干掠れたような声で私の名前を呼んだ。




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