第20章 君色恋模様《後編》* 真田幸村
「こうして泣かせたのは俺が無神経だからだって解ってる。でも、お前を大事にしたい。お前と出会ったのも、惹かれ合って一緒になるのも、運命だと思ってるから。……すげー愛してる。お前のこと、誰よりもだ」
普段なら照れて言えない言葉も、今日ばかりはするりと口から溢れた。
しっかり瞳を見つめて、たまには真っ直ぐ伝えたい。
俺がいつも思っていることを、美依の心に届くように。
すると、美依はくしゃっと顔を歪め、俺に抱きついてきた。
胸に顔を埋め、小さく肩を震わせて……
その華奢な体を改めて抱き締めれば、柔らかい温もりがじんと痺れるくらい伝わってくる。
「も、幸村のばか……!」
「今日は"ばかって言う方がばか"とは言えねー。ごめんな、俺のせいで」
「私もごめん、勘違いして。私、てっきり昔恋仲だった女の人かと思って…優しくする幸村を見ていられなかった」
「信玄様に関係ある女を無下にはできねぇだろ。はっきり言って…俺はお前以外の女は苦手だ」
俺が苦笑しながら言えば、美依は胸元から顔を上げて可愛らしく笑った。
潤んだ瞳や、少し頬が紅潮している感じ。
それらは愛らしく、異様にそそられて……
俺は顔を近づけると、そのまま唇を塞いだ。
柔らかな肉を割り、舌を絡め取って吸い付く。
甘く溶かすように口内を刺激すれば、美依はすぐさま表情を蕩かした。
(あー……可愛い顔、堪んねー)
薄く目を開けて、美依の顔を盗み見ていれば、心の中の燻る熱が燃え上がるようだ。
湧き上がる情欲が、俺を支配し始める。
それに煽られるように、口づけを深くしていけば……
美依は甘い吐息を漏らして、俺にしがみついてきた。
「ん……っゆき、むら……」
「っ……あーもう」
「あっ……」
口づけの合間に名前を呼ばれ、その濡れた声を聞いたら、反射的に体が動いていた。
抱き締める体に力を掛け、そのまま畳へと押し倒す。
また噛みつくように唇を塞ぎ、美依の体を強引に組み敷いた。
躰が燃えるように熱くなる。
次第に吐息も荒くなって……
熱っぽく美依を見下ろしたら、美依もなんだか煽情的な目で見上げてきた。