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【イケメン戦国】新篇 燃ゆる華恋の乱☪︎華蝶月伝

第19章 君色恋模様《前編》 * 真田幸村




「……二人、茶屋に入って行ったな」

「ありがとう、佐助君。もう大丈夫」



佐助君が背中を優しくさすってくれたお陰で、少し心が落ち着いた。
でも…本当に誰なんだろう、あの女の人。
佐助君も知らないんじゃ、かなり昔の知り合いとか?


(まさか、こっそり付き合ってた彼女とか)


もう祝言間近なのに、こんな事って。
幸せの絶頂にいたのに、一気に気分はだだ下がりだ。
気落ちするのが止められない、あんな風に女の人と仲良くする幸村を見たくなかった。
思わず俯いてしまうと、佐助君が再度私の肩に手を置く。
そして、そのまま優しく声を紡いだ。



「幸村に限って浮気なんて事はしない、保証する」

「……うん、そうだよね」

「でも誰なのかは気になるな、俺達も茶屋に入って様子を伺おう」

「でも、バレたりしないかな?」

「二人は中に入って行ったから、外席から中を伺うくらいならバレないと思う」



佐助君は目をパチパチと瞬きしてみせる。
これはきっとウインクだよね、うん。
佐助君の言葉に頷き、私達は幸村の後を追ってお茶屋さんに入ってみることにした。
こんなの尾行みたいだけど、やっぱり気になるし……
私も幸村に限って浮気なんて事はしないって信じてるから。

『お前のこと、すげー好きだ』

そう言ってくれる幸村の言葉は本物だって。
そう思ってるからこそ、不安を解消させたい。



私と佐助君はお茶屋さんの外の席に座り、お茶とお団子を注文する。
このお茶屋さんの入口は短い暖簾だ。
だから、外席に座っていても、少し身を屈めれば中を見る事も可能。
不自然だとは思うけど、私と佐助君は席に座りながらちょっと前のめりの姿勢になって、お茶屋さんの店内を見渡した。

すると、店の奥の席に幸村とあの女の人が座っているのを確認する事ができた。
幸村が私達に背を向けて座っていて、向かいに女の人。
可愛らしい感じの雰囲気の女の人は、幸村と話して楽しいのか…終始笑顔でいる。



「……何を話しているかまでは解らないな」

「佐助君でも聞こえない?」

「ボソボソなら聞こえるんだけどな。後は口の動きで読むしかない」



(ボソボソなら聞こえるんだ、さすがだ)

『ちょっとすごい忍び』の佐助君と、幸村達の様子を伺い……
私は不安を感じながらも『きっと大丈夫』と自分に言い聞かせた。






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