• テキストサイズ

【イケメン戦国】新篇 燃ゆる華恋の乱☪︎華蝶月伝

第18章 鴇色の華に魅せられて * 織田信長




「申し訳ありません、さっき政宗と光秀にはあまり飲ませるなときつく言ったのですが……」

「政宗と光秀の仕業か、言う事を素直に聞く連中ではないだろう。とにかく美依を天主に連れていく、後は任せる」

「かしこまりました」



秀吉に宴の場を任せ、俺は美依を連れて広間を出た。
どうせまだ皆騒いでいる、俺が抜けたとなればすぐに解散になるかもしれないが……
後は秀吉が上手くやるだろう、そういう面でも頼りになる男だ。

薄暗い廊下を美依を横抱きにしたまま歩いていれば、少しだけ涼しい風が頬を撫でる。
庭の紅葉は見事だし、季節はすっかり秋だな。
風情を感じていると、美依が下から腕を伸ばし、俺の首に巻き付かせてきた。
まるで甘えるような仕草に少しびっくりしていれば、美依が甘ったるい声で名前を呼ぶ。



「ふふっ、のぶなが様ぁ〜〜」

「天主に戻るぞ、今の貴様は目に毒だ」

「えーっ」

「"えー"ではない、異論は認めん」



(全く、美依を見つけたのが俺だったのが不幸中の幸いだ)

このような状態の美依を、他の男に発見されなくて本当に良かったと思う。
他の輩に"これ"をしようものなら、本当の意味で手篭めにされるかもしれない。
そのくらい、今の美依は愛らしい。
『誘っている』と勘違いされる可能性もある。
つまり明らかに美依に非がある故に、今の美依を放っとく訳にはいかないのだ。

腕の中で抗議の声を上げる美依を無視し、天主に戻ってきた俺は、すぐさま美依の体を奥に敷いてある褥に降ろした。
水でも飲ませるか、それでゆっくり眠れば酔いも冷めるだろう。
……とりあえず、今はひとまず。



「美依、腕を離せ。水を取りに行けぬだろう」



褥に体を降ろしても首元から腕を離さない美依に、俺は若干前のめりの姿勢で言った。
だが、美依は嫌々と言うように首を横に振り…真っ赤に濡れた瞳で俺を見てきた。



「やだっ、行っちゃらめ、です……っ」

「だが、少し水を飲まぬと……」

「お水なんて要らない…だから、傍に居てください…っ」



なんて煽情的な顔つきをするのか。
しかも『傍にいろ』とは…本当に誘っていると勘違いしそうになる。





/ 346ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp