第17章 太陽と月の恋人《後編》* 秀吉、光秀
────はしたなくても、いい
「………っあぁぁぁぁぁ!!」
駆け上がった絶頂は甘美だった。
今までに感じた事のない愉悦。
二人を同時に感じて、違う指の感触や肌の質感がまた愛しかった。
こんなに愛されて、拒める訳がない。
(もっと……欲しい)
美依は霞がかる頭でぼんやりとそう思いながら、何かを掴むように手を伸ばした。
同時に掴んできた二つの手、温かくて大きくて……
淫らな行為に似合わない安堵感を覚えたのも確かだった。
*****
秀吉さんは人たらし。
光秀さんは意地悪。
全然似てないようだけど、根っこはすごく似てると思った。
深い愛情を持っていて、私をいつでも見ていてくれて。
『二人の兄』のような存在だったはずが、いつの間にか男の人として目には映り……
すごく愛しいと、いつしかそんな感情を抱いていた。
でも『同じくらい好き』はだめ。
そんないい加減なことってない。
こんな気持ちでは、二人を傷つけてしまう。
流されても決まらない私は、どこまで優柔不断なのか。
それでも────………
選んでしまったら、どちらかは失くすんだ。
お願い、お月様。
見ているのなら、教えてください。
私は……どうしたらいいのかな?
「あ……」
果てて、意識が飛んだのは一瞬だった。
気がつけば、いつの間にか秀吉の膝の上ではなく、布団に躰を転がされ……
上から光秀が見下ろしているのが解り、美依はその黄金の瞳を見て息を呑んだ。
いつもは涼やかな印象の光秀の瞳。
それが今は色濃くなり、明らかに熱を孕んでいる。
光秀は美依の脚を割って躰を入れていて、その横には秀吉もいてこちらを見下ろしていて。
ゴリッとした硬いものが脚の中心に押し付けられているのが解り、思わず躰を強張らせた。
「怖いか、美依」
「光、秀、さ……」
「よく濡れているし、十分に解したが…挿れるのはやはり抵抗があるか?」
「い、いえ……その……」
チラリと秀吉に視線を向ければ、秀吉は若干苦笑したような顔になる。
そして『それは当然』と言ったように言葉を続けた。