第15章 日華姫ーあの子の誕生日ー * 徳川家康
「私の方こそごめん、家康っ……」
「美依……」
「変に疑って、勝手に不安がって」
「それは、俺のせいでしょ」
「違うよ、私が弱いからだよ。家康をちゃんと信じられなかったから……!」
(……違うでしょ、それ)
不安がって、寂しがって。
それでも我慢して、毎日夜遅くまで俺を待っていてくれたこと。
もし逆の立場だったら、俺は今日みたいにあんたを壁に追い詰めて問いただしていただろう。
あんたは優しく、誰よりも真っ直ぐで。
それは時に、何よりも強いことなんだ。
「────そんな事ない。あんたが
誰よりも俺を信じてるの知ってる」
俺は美依を抱き締め返し、囁くように言った。
美依は気持ちを疑うような事は絶対しない、きっと何か理由があるはずだと苦しんだはずだ。
たくさん不安がらせた、寂しいと思わせた。
だから────…………
今からそれを癒させてほしい。
「不安にさせてごめん、寂しい思いをさせてごめん。それを……挽回させて」
「家、康……」
「その分、めいっぱい甘やかすから。いいよね」
「っ……」
「ね、美依……?」
手のひらで背中を這うと、美依は一気に体の熱を上げる。
しばらく触れていなかった、だから……俺もあんたに触れたいよ。
美依は抵抗も見せず、消え入りそうな小さな声で『いいよ』と同意の返事をしてくれた。
それが合図となり、俺は愛しい子を暴いていく。
手で、唇で、言ノ葉で。
それはありったけの愛を込めた、俺の熱情。
露わになって隠せないから、あらゆる手段で愛する女の子に伝えていく。
明日はあんたが生まれた大切な日。
生まれてきてくれて、ありがとう。
俺を愛してくれて、ありがとう。
その気持ちも、残らず注ぎたいから……
どうか、俺自身を全て受け入れてほしい。
夏の暑い日、それ以上に火照る体を交じり合わせ、気持ちも重ねていった。
俺達は離れていた時間を埋めるように……
お互いの熱を確かめ、触れ合わせていったのだった。
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