第14章 愛逢月の秘蜜ーその後の秘密ー * 政宗、家康
「……俺は辛そうなあんたを見てられなかった。それは病気や怪我と一緒、何とかしてやりたいと思うでしょ」
「……っ、ありがとうございます……」
「……まあ、それだけじゃないけど」
「え……?」
すると、美依は視線だけをこちらに向けた。
どちらかと言えば、そっちが重要。
勿論、苦しんでいる美依を助けてやりたい気持ちもあったけど……
俺はずっと、美依を『抱きたい』と思っていたから。
俺は美依の顎に手をかけ、少し強引に天井を向かせる。
そして、美依を上から見下ろし……
一回、その桜色の唇を啄んだ。
ちゅっと淡い水音が響けば、昨夜の蜜事が思い出される。
あんたは…本当に可愛かったんだよ?
「い、え、や……」
「美依…一回しか言わないから、よく聞いて」
目を見開く美依をしっかり見つめた。
その黒い瞳には、少し恥ずかしそうに睨んでいるような俺が映っている。
────あんたに想いを伝えるよ
俺の赤裸々な気持ち。
今ばかりは天邪鬼も大人しくしていてほしい。
俺、ずっと前から───………
「あんたの事、好きだった。あんたを抱きたいって、腕に抱き締めたいって、ずっとそう思ってた。助けたかったって言うのは建前で…ただ俺が、あんたを抱きたかっただけ。だって、美依が好きだから」
「────…………!」
一気に口から零してしまえば、美依は唇を震わせ、若干瞳を潤ませた。
……なにその可愛い顔、煽ってるのかな。
美依は視線を逸らさないまま、その震える唇を開き、たどたどしく言葉を紡ぎ始める。
まるで、何かを確認するように。
「じゃあ、廊下で口づけようとしたのは……」
「政宗さんに手を出されたって確信したから。他の男に染まったなんて癪でしょ」
「家康は、私の事、すき……」
「そう言ってるでしょ。俺、気持ちもないのに女の子を抱いたりしないよ」
「そ、そっかぁ……」
その安心したような口調。
まさか、ただ火照った体を鎮めるために、何とも思ってない子でも抱けるような奴だと思われていたのだろうか?
……すごく心外なんだけど、それ。
俺は少し釈然としないまま、美依の頬を撫で。
そして、そのまま告白の『答え』を促した。