第14章 愛逢月の秘蜜ーその後の秘密ー * 政宗、家康
「……あんたは?」
「えっ……」
「俺の事、好き?」
閨でも、熱に浮かされたあんたに『俺を好きだと言って』と半ば強引に言わせた。
でも……きちんと美依の本音が聞きたい。
すると美依は、少しだけ視線を泳がせ……
まるで自分に言い聞かせるように、ぽつりと言った。
「好き…だよ、多分」
「多分…って、なに」
「その、はっきり解らなくて…だけど、家康の事は好きなんだと思う。だから、もう少し答えは待って……!」
「……」
(まだまだ前途多難って事だな)
まだ『好き』の意味が解らないらしい。
でも今回をきっかけに、意識はしてもらえるのだろう。
……本当なら、一時も待てないけど。
でも、焦る必要はきっとない。
俺達の関係はこれからで、想いも育まれる。
そんな気がするから。
「今はそれでいいよ」
「あ、ありがとう……」
「……でも、もっと口づけさせて」
「えっ」
「せっかく一緒の褥で目覚めたんだから…口づけ、しよ」
「んんっ……!」
こうして、まるで『二人だけの夜』を過ごした後のような、甘い時間が訪れた。
政宗さん、先に出ていったのは失敗でしたね?
もう……美依は渡す気はないから。
せっかくの状況、存分に堪能させてもらう。
────それは、政宗さんは知らない秘密
先に出ていったあの人は、俺達がこうしているなんて思いもしないのだろう。
俺は美依の唇を塞ぎ、その柔肌を撫でながら、今度こそは二人の蜜事を…と心に誓って。
そして"その時間"が訪れたのは、この日から間もない日の事だったと。
それを知るのは、また少し先の話。
今はただ、この腕の中に美依がいる喜びを噛み締める。
政宗さんに秘密の時間は穏やかに流れて……
ふわり甘い桃色に染まった愛逢月の秘蜜の朝は、俺の心をほっこりと温めたのだった。
愛逢月の秘蜜ーその後の秘密ー
家康ルート 了