第13章 愛逢月の秘蜜《後編》* 政宗、家康
本当に織姫と彦星がいるのなら、
お前は織姫で、彦星はどっちなんだろうな?
この狂った蜜事を見守ってる星々にも……
あんたの可愛い姿は見せたくない。
────だから、この情事が終わったら
今度こそはっきりと素直な想いを伝えるよ
「ぁあっあんっ…政、宗ぇ……!」
「美依…っぁ、好い……!」
「家、康っ…もっと……!」
「足りないの?なら、もっとあげるよ」
愛逢月の今宵、秘蜜の交わりを。
燃えるような熱情を絡ませ、三人だけの蜜な夜はそれは濃密に過ぎていった。
何度も高い極みへ登って真っ白になる。
だが、そのすぐ後には……
愛しさが極彩色になって心を彩る。
それを感じる幸せがあれば、愛情が無いなんて言わせない。
だって少なくとも俺達はお前を、たった一人の女だと思っているから。
やがて、ぷっつり意識を飛ばした美依を二人は愛おしげな眼差しで見つめ……
『よく頑張ったな』と。
それぞれに想いを込めて、額に口づけた。
そうして、媚薬に振り回された夜が終わる。
互いに精根尽き果てた政宗と家康も然り、浅い眠りに落ちていったのだった。
*****
「おい、家康。その手を退けろ」
「嫌ですよ、もう少し堪能したいんで。あんたもでしょ」
「まあな」
美依を真ん中に挟み、両隣りで寝転びながら、政宗と家康はそれぞれ、眠る美依を眺めていた。
まだ、夜明け前でだいぶ暗い。
二人が眠ったのは、ほんの一刻ほどだろう。
眠りは浅かったが、体力はだいぶ回復している。
それよりも美依の様子が気になって、眠ってもいられなかったと言うのが正しいかもしれない。
穏やかに眠る美依は顔色も良く、まだ情事の名残で躰は暖かいものの、心身が高ぶった様子は見られない。
媚薬はきっと、完全に抜けたのだろう。
それを確認して、ほっとしたのもつかの間。
何となく恋人と迎えた朝のような認識である二人は、それぞれ美依の頭と腹辺りを撫でている。
腹に手がある政宗は、何故か執拗に下腹辺りを念入りに撫でていて。
家康は何故かそれが気になって、政宗に尋ねてみることにした。