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【イケメン戦国】新篇 燃ゆる華恋の乱☪︎華蝶月伝

第11章 黒と蜜、紅と熱 * 信玄END






────君を離さない、誰にも渡さない




それはきっと独占欲なのだけど、
もう決して君を離せやしないから。
だから、鮮やかに咲き誇る君を、
心も躰も腕の中に閉じ込めて……

そして、二人だけの永遠を刻む。




「ぁあんっ…ぁっ信玄、さまぁ……!」
「美依、美依っ……」




俺達はその夜、飽きることなく重なり合いながら、己の心も通わせていった。
響く嬌声は、月夜に混ざって溶けて……
この後訪れるであろう『最後の決戦』を目の前に、二度離れないと互いに誓ったような。

そんな、秘めたる蜜夜だった。















*****















(相当疲れさせたな……)

まだ夜も明けてない、暗い部屋の褥の中。
俺は己の胸に引っ付いて、すやすやと穏やかに眠る姫の髪を梳きながら、口元に笑みを浮かべた。

考えてみれば、囚われて散々いいように抱かれて逃げてきた所を、また無理させたのだから……
この子は相当体力を消耗し、限界に来ているに違いない。

だが、寝顔を見ながら考える。
この子をあの男から完全に引き離すため、心に決めていた事を実行するなら今だと。
これは絶好の機会だ、きっと今ならそれを出来る。

この子を守ってやらねば。
もう傷つかないように、この手で。
その為には───………




「ん……」




指の背で頬を撫でると、その感触に気づいたのか、美依は伏せられた瞼を開いた。
眠そうに二、三回瞬きをし、そして少し上目遣いになると、見つめる俺の視線と絡み合う。
すると、美依は目を瞠り、頬をぱっと朱に染めてみせた。




「信玄様っ……」

「おはよう、姫。身体は辛くないか」

「大丈夫です、けど……」

「けど?」

「少し照れますね…なんか」




(……また可愛い事を、参るなー)

褥を共にし、そして初めて迎えた朝。
まるで初夜を過ごした恋仲のような、そんな甘い空気があって少しばかり苦笑してしまう。

この子とは、そんな清い仲ではない。
言わば略奪したようなものだからな。

俺は美依の頬に手を当て、しっかり瞳を覗き込んだ。
黒真珠の瞳が微かに揺れるのを見ながら、この後について伝えてやる。






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