第11章 黒と蜜、紅と熱 * 信玄END
「あぁんっ……!」
途端に美依が甲高く啼いて、腰が跳ね上がる。
甘い、まさに"甘露"と呼ぶにに相応しい。
この甘く馨しいものを、あの魔王も味わったのだろう。
そう、きっと何度も。
(やっぱりそれは妬けるなー)
それは現実を受け入れられない醜い心。
俺は君より大人だけれど、気に入らないものは気に入らないから。
だから…"ここ"こそ記憶を塗り替えねばならないのだ。
俺は舌を蜜口に這わせ、そこを愛撫しながら目の前に膨らむ小さな花芽も指で弄った。
さすれば、美依はよがってさっきよりも甘い濡声を響かせて…見る間にぐずぐずと崩れていく。
「ぁっ…ぁあ…っんやぁ……」
「ここにあるあいつの記憶は忘れてしまえ、君ならそれが出来るな?」
「そ、れは…っあ、許されますか…?」
「は?」
「信長様が、傷ついたり、しませんか…?」
(……傷ついたのは、君の方だろう?)
自分が傷ついたのに、あの男を心配するのか。
それに、無理やり記憶を刻み込まれたのだろう?
なら、忘れたってなんの問題もない。
だが…随分この子の深くまで、信長は入り込んでいるようだ。
そのくらいあの男は好かったと言う意味か。
それもまた、少し嫉妬心を煽るな?
それを苦笑しながら、さらに攻める。
魔王の事なんて考えられないくらい蕩けるように、酷く甘美に。
「心配するな、じきにそんな事は考えられなくなる」
「あっ…ん、ぁっ…!」
「それに…閨で他の男の名を口にするのは御法度だぞ?何も考えず、溺れていなさい」
ぴちゃっ、ちゅうっ……
蜜を舐めとり、吸い付いて。
柔らかく解れるそこを甘噛みしたりして、さらにとろとろにしていく。
朱になって綺麗だな、すぐにでもがっつきたくなる衝動に駆られるけれど…
やっぱり本当の意味で"酷く"は出来ない。
癒すのが目的だ、新たに傷を増やす事ではない。
────まあ、君の淫らさに
内心を煽られている自覚はあるけれど
「あっぁっ…だめぇっ、あ…っ」
「んっ…美依…」
「……っぁあぁぁ!」
すると、一際高い嬌声と共に、背中が弓形にしなった。
そして、溢れてくる濃い愛液。
ようやく快感の波に攫われたらしい。
美依は躰全体で呼吸をしながら、力なく脚を放り出した。