第9章 黒と蜜、紅と熱 * 信長VS信玄《共通ルート》
その夜も、私は天主に呼ばれた。
言われた通り湯浴みを済ませて、簡単な着物に着替えて戻ってみれば……
信長様は板張りの張り出した所に座り、一人でお酒を飲んでいた。
(信長様……?)
喉を逸らして色っぽくお酒を煽り、そのまま夜空を見上げる信長様。
その視線はどこか虚ろで…まるで瞳には何も映していないようにも見える。
……何を考えているんだろう。
「信長様、お湯…ありがとうございました」
でも、私が声を掛けると、信長様はこちらに振り向き、優しげに赤い瞳を細めた。
そして手招きをしたので…私は傍に行って、隣に腰を降ろした。
「随分と長い湯浴みだったな」
「今日は少し肌寒いので、よく温まってきたんですよ」
「……どうせ俺の手で熱くなるだろう」
「あっ……!」
信長様はすぐさま私を腕に抱き込む。
背中からきつく抱き締め、その手はすぐに躰を這い始めた。
着物の上から胸の膨らみを撫でられ、そして無遠慮に合わせから忍び込んできて……
直に大きな手で胸を揉まれ、一瞬にしてカッと躰が熱を帯びた。
「信長、様っ…待って……っ」
「待つ必要がどこにある」
「だって、昨日も、そのっ……」
「昨日は昨日、今宵は今宵だ。俺のものに触れるのに、時は関係ない。俺は…貴様を感じたい」
「んっ……!」
指が胸の先を弾いたので、思わず腰が跳ねる。
そのまま捏ねるように弄られてしまい、甘美な刺激が私を襲い始めた。
快感を与えられるたびに、そこは充血して膨らみ、だんだんといやらしく変形して。
信長様は私の耳たぶを噛みながら……
低く甘やかな声を、いつもの様に注ぐ。
「相変わらず感じやすい躰だ。胸がそんなに気持ちいいのか……?」
「あっぁんっ…のぶ、様ぁ……っ」
「貴様は温かくて心地良い、ずっと…触れていたくなる」
『────君は温かいな、とても』
(────…………!)
その時。
不意に信玄様の言葉が頭を過ぎった。
目の前で私に触れているのは信長様なのに……
何故だろう、頭に信玄様がちらつく。
そんな事を考えている間に、信長様は私の髪をゆるりと束ね、片方の肩に掛けた。
だがその瞬間、信長様が息を詰めたのが聞こえ、何故だか胸への愛撫が止まった。