第8章 桃色淫書-蜜恋に戯れる想い- * 石田三成
「……っ次の、絵は……?」
私はさらに、濡れた指で頁をめくった。
次の頁には立ったまま向かい合い、女は片脚を上げて、男が下から貫いている様子の淫らな絵。
壁を一枚挟んで、向こう側には人が平然と会話をしている。
こんな状況なら、声を上げたら気づかれてしまう。
だから女は表情を快楽に染めても、必死に喘ぐのを我慢しているようだ。
『────まさに気づかれてしまう刹那
その瞬間が最高に興奮する材料になる。
声を我慢する様子も煽られて。
垂れる白濁は何度か達した証拠で…
尚も睦み合うのは、浅ましい情欲』
詞書を読んで、霞がかる頭でも納得した。
見られるか、見られないか…の瀬戸際、危険な状況がさらに高ぶるのかと。
そして…嬌声を抑える様子が、また興奮するのだと。
それはとても嗜虐(しぎゃく)的だ。
異常性欲と言ってもいい、そしてそんな状況でも感じてしまう女は被虐(ひぎゃく)的。
でも、少しそれは理解出来る。
だって、もしかしたら絡み合っているのを知られてしまうかも…なんて、とてもどきどきするでしょう?
それに、そんな中でも美依様が感じていたら…
『やぁっ…らめだよ…三成、君……!』
(……最高に、可愛らしいじゃないか)
ぞわり、と心が波立つ。
私に脚を捕えられ、ぐちゅぐちゅに蕩けた蜜部を晒し…
下から突かれて、でも喘ぎたいのに声を我慢して。
他の人には知られたくない。
でも、気持ち良くなりたい。
快楽に流されたいけど、許されない。
そんな危険でも興奮する躰と心。
ああ…堪らなく、愛らしい。
「ん………っ」
美依様を想った瞬間、先からとぷり…と少量の白濁が漏れた。
もう、限界が近い。
貴女の中で出させてください、美依様。
現実には無理でも、せめて想像の中だけでも。
貴女に触れたい、抱き合いたい。
心のままに抱いて…注ぎたい。
熱を、欲望を、私の全てを。
ドロリとした白い液体。
それは私の卑しい種だ。
それが根付く事は無いと知っていても…
────私はそれを吐き出す事で
自分の中の淫欲を限りなく満たすのだ