第8章 桃色淫書-蜜恋に戯れる想い- * 石田三成
(何を考えてるんだ…美依様に失礼だ)
必死に自分をなだめ、呼吸を整える。
こんないやらしい目で見て、啼き声まで想像して。
大好きな御姫様なのだから、自分の想像の中ですら汚してはいけない。
でも──……
美依様はどんな可愛い姿になるのだろう。
私の手で、指で、唇で。
快楽に導いてさしあげたとしたなら。
この淫画のように…
深く深く、昂りで穿いたとしたなら。
────貴女は、淫らに華開いて
私の名を呼びながら…果ててしまうのか
「だめだ、考えるな……っ」
頭を振り、浅ましい思考を飛ばす。
でも、一旦その考えに囚われたら、もう離れてはくれない。
ちらりと本に目を移せば、交わる男女の姿。
もうそれが…私と美依様にしか見えなくなった。
頭の中で次々に想像が浮かぶ。
襖に手を付く美依様は着物が乱れて。
私の名を呼びながら、好さそうによがる。
私はその細腰を掴み、腰を打ち付けて。
そして…囁くのだ。
『美依様、もっと乱れて』
『ぁんっ…三成君…っだ、めぇ…!』
『ふふっ貴女は本当に可愛らしいですね』
────真昼間の契り
誰が見ているかもしれない、部屋の中で。
密かに睦み合う恋仲の男と女。
結合部分からは蜜と白濁が零れ…
滴っては、足元まで濡らしていく。
まさに、その詞書通りに。
私と美依様は絡み合って…
部屋中を桃色の空気に染める。
熱を上げ、濡れた部分を擦り合わせ。
そして、果てる。
己の欲望の全てを…注ぐ。
精を、
気持ちを、
愛しい者の腹に、
美依様の中に───………
『三成君が中に…気持ち、いいよぉ……』
「もう、だめだっ……」
私ははち切れんばかりに滾った雄を解放するために、袴の紐に手を掛けた。
本を持っていない方の手で、しゅるしゅると手早く紐を解いていく。
さっき抱き締めた身体は柔らかかった。
甘く、とてもいい匂いがした。
あの方を現実では抱けないのなら…
せめて、頭の中だけならいいですか?
自分が情けないのは解っている。
けれど、あの方を想えば…
心も身体も高ぶって、もう苦しい。
『好きです』という気持ちが、
加速して暴走して、止まらない。