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【イケメン戦国】新篇 燃ゆる華恋の乱☪︎華蝶月伝

第8章 桃色淫書-蜜恋に戯れる想い- * 石田三成






────バサッ、バサバサッ




「いたた……」

「…っ、三成君!」

「危ない所、でしたね」




私は苦笑いをしながら、包み込んだ美依様を見つめる。
崩れてきた本は私に当たり、下に落ちて…
どうやら美依様を守る事には成功したらしい。

まったく、しっかりしているようで危なっかしい。
そんな美依様も…可愛らしいですけどね。

美依様は一瞬、何が起きたか解らなかったのか、キョトンとした顔をしていたけれど…
すぐにハッと気が付き、目を丸く見開いて私を見た。




「ご、ごめんっ!」

「こんなに山積みになっている所から引き抜いたら、危ないですよ?」

「三成君…本が崩れてきたのを守ってくれたんだね」

「いえ、貴女が怪我をしなくて良かったです」




私が笑いかけると、美依様は少し頬を染める。
ああ…可愛らしいな、このまま離したくなくなってしまうくらいに。
反射的に抱き締めてしまった身体は柔らかく、そしてとても甘い匂いがする。


(本当に高ぶってしまったら大変だ)


私は名残惜しい気持ちも残しつつ、美依様から身体を離した。
美依様は一冊の本を手にしていて。
題名は『西洋の薬草図鑑』
まさに、私と美依様が探していた本だった。




「美依様、探していたのはその書簡です」

「あ…やっぱりこれだったんだね」

「はい、美依様お手柄ですよ。ありがとうございます」

「良かったぁ、役に立てて」




美依様は安心したように笑う。
目的の本が見つかり、本当に良かった。
そのまま一緒に立ち上がり、着物についたほこりをはらいながら…

美依様は私を見上げ、いつものように柔らかな口調で私に尋ねてきた。




「私はもう部屋に戻るけど…三成君は?」

「私はもう少し、本を読んでいこうと思います」

「そっか…根詰めちゃだめだよ?」

「はい、気をつけます。美依様、本当にありがとうございました」




美依様はそのまま書庫を出ていった。
私はそれを見送り、姿が見えなくなってから、思わず小さくため息をつく。

美依様、私に抱き締められても普通だったな。
それはつまり、男に見られていないのだろうか?






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