その哀しき運命(サダメ)を少しでも変えたくて 番外編
第3章 番外編③「~小さな身体で動ける秘密(後編)~」
彼の温もりを感じて私は涙を流し続ける。
抱き合う2人を白い光が包み込む。
サアァ…、風がそよぐ音を聞いた私は呻くと重たい瞼を持ち上げた。
「……ぅ…」
暗いはずなのに彼の特徴的な髪とその双眸が私を見つめている。
間隔では分かるのに何故か体は動かず、焦点が定まらないし、酷い眠気に襲われながら私は言う。
「…ツ……ナ…?」
優しく私を抱き上げてくれているのが彼だと分かっているけれど何故か不安だった。
オレは不安げな表情をする彼女に微笑みながら話す。
「フッ…うん。オレだよ……もう大丈夫だからね彩ちゃん。君の側に居るから」
「……う…ん…」
彼のその言葉を聞けた私は安心すると睡魔に身を任せた。
「良い夢を…彩ちゃん」
眠りに就いた彼女にオレは囁きかけ、そして額にキスを落とす。
(これ以上彼女が苦しまない様にオレの細やかな贈り物……そろそろ時間が迫ってきてる。早く済ませなきゃな……本当はこの姿を彼女に見てもらいたかったけど…仕方がないよな)
「……綱吉君……彩花ちゃんは?」
一人内心で呟いていると後ろから声がかかりオレはその問いに言った。
「大丈夫だよお爺ちゃん……今は疲労で眠っているだけだから…」
そう言って振り返ったオレはお爺ちゃんに彼女を預ける。
預かった彼女が息をしている事に9世は安堵する。
オレは言った。
「ここを出ようお爺ちゃん。みんなの傷の手当てしないと」
オレの言葉にお爺ちゃんは頷くと全員を外に出した。
最後に建物から出たオレは振り返って、構えると小声で言う。