その哀しき運命(サダメ)を少しでも変えたくて 番外編
第1章 番外編①「〜私の使命と家族としての在り方〜 」
『後、1時間だ』
尚吾は歯噛みする。
(油断していた……俺達がいつ襲われてもおかしくない状況だったのを……彩花との出逢いで俺達の感覚が鈍くなった所を突かれた)
尚吾は内心で後悔しながらも言った。
『お前達がどれだけ待とうとあの子は来ないぞ。俺の相棒をなめるな』
尚吾の言葉にリーダーはバキッと尚吾の顔を殴る。
「ッ!? かはっ!」
尚吾は血を吐く。
リーダーは言った。
『お前こそオレたちに生かされてる事を忘れるなよ』
パリイィンッ…、『『ッ!?』』「ッ!?」
窓を突き破って何者かが入って来た。
スタッ…、着地したその者はゆっくりと立ち上がる。
『何者だ! 貴様は!』
リーダーの言葉に私はニヤリと笑いながら言った。
『お前たちに名乗る名など無い……お前たちは全員ここで果てるのだからな』
「……っ」
尚吾は目を見開いて居る。
尚吾には分かったのだ。
窓を突き破って来たのは9代目から里親として預り、数分で自分と千鶴のその笑みで心を掴んだ自分の娘なのだから。
だが、姿が成長している事にはかなり驚いていた。
『殺せ!!』
リーダーの掛け声と共に仲間たちは銃を構える。
私はニヤリと笑いながら言う。
『――遅いよ』
『『ッ!?』』
男たちは驚愕するとドサッドサッ…と倒れた。
そして全員を縄で縛り上げると私は尚吾を縛る縄を切る。
尚吾は手首を撫でながら言った。
「……お前……彩花なんだよな?」
尚吾の問いに私は頷く。