その哀しき運命(サダメ)を少しでも変えたくて 番外編
第3章 番外編③「~小さな身体で動ける秘密(後編)~」
ガッと男は彼女の左手首を掴むと強引に引っ張った。
「…っ」
彼女は咄嗟にオレを見て、口パクで言うと泣き顔に近い笑顔で笑う。
「ッ!?」
オレは直感で彼女が危ない事に巻き込まれているのだと理解する。
慌ててベッドの下から出て、2人の後を追ったが、そこには誰も居なかった。
(彼女はあの男がオレを目当てにこの騒ぎをお越し、仲間を呼び寄せ、その隙に誘っていこうとしたが、彼女が隠した事によって標的が彼女に変わったんだ)
彼女のあの表情は嫌な不安が過る。
「そんな……彩ちゃん……っく!」
何も出来ない自分がムカついた。
「彩ちゃ―――んっ!?」
オレは歯噛みすると叫んだ。
それを聞いて暫くしてお爺ちゃんと父さんが慌てて来た。
オレは話す。
「父さんの仲間だった男の人が彩ちゃんを誘って行ったんだ! この騒ぎもその男の仲間だよ!
父さんは自分の仲間が裏切っていた事に気付かなかったの!?」
彼の問いに家光は愕然としていた。
オレは言った。
「彩ちゃんは連れ誘われる時にオレに向かって言ったんだ! [待ってるから…必ず助けに来てね]っ!」
「「ッ!?」」『『ッ!?』』
9世と家光たちは驚愕した。
オレは彼女から預かった指輪を服の上から握りしめながら言う。
「彩ちゃんが伝えてきてくれてる……この方角に居るよって」
オレは壁側を指差した。
「この方角だと北東か…」
家光はそう呟くとツナを見て言った。
「ツナ、お前はここに居ろよ? 彩花ちゃんは父さんたちが助けるから」
「ダメ!!」
瞠目する父さんたちにオレは言う。