その哀しき運命(サダメ)を少しでも変えたくて 番外編
第3章 番外編③「~小さな身体で動ける秘密(後編)~」
「ふぅ…何時までもうじうじしてたらあの人に怒られちゃう」
私はそう呟いて涙を拭うとお爺ちゃんに向き直り、その冷えてしまった手を引きながら言った。
「寒なったから中に入ろうお爺ちゃん。手が冷えたってるよ。後ね……私なら大丈夫だから…お爺ちゃんは自分の役目を果たして」
「ッ!? あぁ…分かった」
彼女の言葉に9世は驚愕したが納得すると頷いた。
眠る前に私はツナの部屋へ向かう。
ノック音と共にドアを開けて彼女が入ってきた。
(彩ちゃんのパジャマ可愛い猫がらでとても似合ってる)
内心でそう呟いて、オレは首を傾げながら言った。
「あれ? 彩ちゃんどうしたの?」
そう問うと彼女は自分の首に下げていた何かを外してオレに差し出し、見せてくれた。
チャリッとチェーンに通された彼女に似合うシンプルなオレンジ色の宝石が付いた指輪。
それを一瞥し、彼女を見て言った。
「…指輪(コレ)は?」
首を傾げるオレに彼女は言った。
「私の唯一の宝物をツナ……貴方に預けるわ」
「ッ!? え!?」
オレは驚愕する。
「宝物ってそんな大事な物は彩ちゃんが持ってなきゃいけないじゃないか!」
彼女は首を振ると指輪を見つめながら言った。
「ううん…今はまだ指輪(コレ)を使えないから……時が来たら貴方の元へ受け取りに行くわ。
だからそれまで貴方に持っていてほしいの……他の誰でもないツナ…貴方に…」
真剣な表情でオレを見つめる彼女のその瞳を見て、訳が有る事を悟る。
でも彼女はオレには決して言わないことも分かっていた。