その哀しき運命(サダメ)を少しでも変えたくて 番外編
第2章 番外編②「~小さな身体で動ける秘密(前編)~」
「だって彩花ちゃんの綱吉君を見る目が一番優しいんだもん」
「優しい?」
首を傾げる私に希里が頷く。
「うん。人は誰かを好きになると他の人と接してるよりも優しい表情になるんだってある書物で読んだよ」
「希里君……キミは小学生ですよね? 何でそんなに詳しいの!?」
私のツッコミに希里はポカンとした顔で言った。
「え? ただ単に本が好きで読んでる中でそういった情報が蓄積されただけだよ?」
「小学生が蓄積って言葉はまだ習ってないし覚えないよ!?」
私のツッコミに希里は言う。
「彩花ちゃんの方が僕らが習ってない言葉をいっぱい言ってますよ」
楓たちは頷く。
「っう」
私は呻く。
清は言った。
「みんなそろそろ彩殿をイジルのは止めるでござるよ。でなければ拙者たちは今頃は…」
清の言わんとする事を理解した私はパンパンッ…と手を叩く。
「はい! しんみりしないの! みんなも私もまだ子供だからね! 早く帰らないと親に怒られちゃうよ〜」
私の言葉にハッとした楓たちは時計台の時刻を見ると慌てて自分の家へと駆けて行く。
私はその背中に向かって叫んだ。
「みんなー! また明日学校でねー!」
全員が手を振ったのを見て私は微笑んだ。
フワッと肌寒い風が背後から吹いたのでそっちに向き直るとそこには掟の番人 復讐者(ヴィンディチェ)の2人居る。
私はまさか奴等が直々に来るとは予想していなかったし、相棒が何も言わなかったので目を見開いていた。
長身の人の肩に乗った赤子ぐらいの子が周りに倒れているマフィアたちを一瞥すると言う。