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【鬼滅の刃】私の師範が派手すぎる

第1章 継子




先程倒した鬼から、そう遠くない場所にもう一体発見した。
音を聞いただけで察していたけど、その鬼はまだおそらく五人も人を食っていない、弱い鬼だった。
きっと、鬼にされてそう時間は経っていないのだろう。


「あともう一体…うーん遠いなぁ」


鬼畜な師範(言ったら投げられそう…)による過酷な稽古のせいで、疲労は限界を超えそうだったのに、休みもなく出現しやがった鬼。
今すぐこの場に倒れ込んで眠りたい。…いや贅沢を言うなら美味しい夕餉を食べて温かい湯船に浸かってふかふかのお布団で眠りたい。

でも鬼を倒さなければ。
確認できている鬼を倒してから帰らなければ、師範に叱られる云々でなく、その鬼がいつ誰を襲い食うかわからないのだ。
人を食べ続け、強さが増すかもしれない。

『 微かでも、気配を感じたら探して斬れ 』
『 “逃がしていい”という選択肢は、鬼殺隊になった者にはあってはならない 』
『 働かざる者食うべからずだろォが! 』

師範に、出会った頃から言われ続けている言葉だ。
…最後の言葉は鬼殺隊に限ってではないけれど。


「こんなに鬼がまとまって現れるなんて、最終選別以来だよぉ…」


試験でもないのに…一気に数体はちょっとつらい。
走り動かしている足を止めたい…。

『止まるんじゃねぇ舞千!』


「ハイすみませんッ!!…あ、幻聴…」


う、恥ずかしい…。
でも、幻聴と言えどさすが師範の声。少しだけ疲れが飛んだ。
さっさと倒して、師範と合流しよう。
鬼の音は近い。もうすぐだ。

一度鞘に仕舞った日輪刀をまた抜き、鬱蒼と茂る木をよけながら目標に向かって走る。
途中、大きな岩があったため、それを避けるために飛び跳ねて着地した。…直後だった。


「んえ、っ!?」


突然、着地したにも関わらず体が勝手に宙に浮いた。
それどころか視界が反転し、私の足は空に、頭は地に向かい逆さ吊りになってしまった。足を見上げれば、縄が絡まっている。

えっ何これどういうこと!?まさか鬼が仕掛けた罠!?と焦るものの、よくよく考えてみればこの山は、私と師範の稽古場。つまりこの罠は、師範が仕掛けたものだ。
ぐらぐらと揺れる視界に、酔いそうになる。


「なんだぁ?鬼狩りが逆さ吊りになってやがる!」
「げっ」


うわ、なんて間の悪い!空気を読みなさいよ鬼っ!!


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