• テキストサイズ

【鬼滅の刃】私の師範が派手すぎる

第1章 継子




確かに私も、心配してもらえるのはとっても嬉しい。
でも、鬼殺隊としてお仕事をしている者にとっては“怪我をしない”ことは大変難しいことなのだ。
師範のように、鬼殺隊の中で最も強いと評される柱まで上り詰めたら、ほぼ無傷で帰還することは容易いだろうけど…。

私の現在の階級は、乙(きのと)。
柱を除く鬼殺隊の階級の中では、二番目に強いと言われる階級。
師範の教えが私に合っていたらしく、一年と経たずこの階級まで上り詰めることができた。

でも、ときどき不思議…いや、疑問に思う。
柱を除いて二番目に強いと言われる階級なのに、師範と稽古をすると毎日傷だらけ…。
あれ、私の階級ってほんとうに乙なの?と。
実力差を毎日見せつけられているような気がしてならなくて、なんだか悔しくて。
師範は、私の実力を認めてくれているけれど…。


「ま、いいじゃねぇか。怪我をすればするほど、その分強くなれるんだからよ。なァ?舞千」


上機嫌な様子でくるりと振り返った師範は、唇を尖らせている私の髪をくしゃくしゃと乱すように無遠慮に撫でる。

ああ、ようやく名前を呼ばれた。待ってましたよ師範。遅いです。

自己紹介が遅れました。
音柱、宇髄天元の継子、鈴宮舞千と申します。
十七歳です。女です。

師範の“継子(つぐこ)”である私は、音の呼吸を継ぐ者。
もし、師範である柱が何らかの理由で退職した場合の、次の柱候補として選ばれる直弟子だ。
よほど優れた才能を現役の柱に認められなければ、選ばれることがないと言われている鬼殺隊員。…らしい。

…私にそんな才能があったのか、っていう話なんだけれども。
師範、宇髄天元にとって、認められる才能として見出せる何かが、私にあったんだろう、な……。

自信なんて微塵もないから、「俺様の継子だろォが胸を張れ!」と師範によく叱られている。


「う、髪が…はぁ、帰ったらまずお風呂入りたい、で……?」
「そうだなァ、飯の前に……どした?」


急に動きを止めた私に気づいた師範も、次いで足を止める。
今、何か不穏な音が聞こえたような気がしたから、反射で体が動きを止めたのだ。


「…何体いると思う」


僅かに声を潜め、実は先に気づいていたらしい師範は私に問う。さすがだ。
…夕飯前に、もうひと運動かな。


/ 38ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp