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【鬼滅の刃】私の師範が派手すぎる

第2章 おつかい





どこか聞き覚えのある声に振りかえると、桃色と若草色の珍しい髪色をした鬼殺隊の恋柱、甘露寺蜜璃さんがいた。


「甘露寺さん!」


私と目が合った瞬間にぱあっと顔をほころばせた甘露寺さんは、「きゃあああ舞千ちゃん舞千ちゃんっ!」と可愛らしく黄色い声をあげながら私に駆け寄ってくる。
そして、人目を気にすることなく、駆け寄ってきたそのままの勢いで抱きしめられた。
女性にしては背が高い甘露寺さんの豊満なお胸によって顔面が塞がれ、苦しいともがけば、何とか顔だけは解放してくれた。
深呼吸をして顔を上げると、きらきらと輝く若苗色の瞳と、その両目の下にあるほくろが超至近距離で目にうつる。

わああ顔がいい。


「お久しぶりね!相変わらずとっても可愛いわ!」


滅相もない可愛いのはあなたです、と言葉が喉元までせり上がってきたけれどなんとか飲み込み、お久しぶりですと返した。
会えて嬉しい!と再度ぎゅっと抱きしめられて、ふわりと甘い香りがして、もう、あの、極楽浄土に行けそうだ。


「今日は一人なの?宇髄さんは?」
「あ、師範はちょっと用事で…」
「そうなの?珍しいわねぇ、いつも舞千ちゃんと一緒にいるのに」


そっと私から離れて、今度は手を握られる。
もちもちすべすべと柔らかい肌の甘露寺さんの手に包まれている私の手は、昨日の稽古でできた豆で少し硬い。
柱の甘露寺さんの方が稽古してそうなのに…不思議だ。
そして本当に甘露寺さんっていい匂いがする。すごく、いい匂い。


「昨日は一日中ずっと稽古をつけてもらっていたので、今日はお休みです」
「あら、一日中?ずっと!宇髄さん、舞千ちゃんのこと大好きだものね~!キャッ言っちゃった!」


だ、大好きって何だろう。大切…にはされていると思っているけれど、大好きって?え?いやいや何か勘違いしてますよ甘露寺さん。大好きな人にあんな死にそうな稽古のつけ方しませんって。

素敵だわぁ~キュンキュンしちゃう!と言って、顔を真っ赤に染めた甘露寺さんは頬に手をあてて体をくねくねさせ始めた。
いつどんな時でも元気な甘露寺さんの発言に、頭がついていかない。
開いた口が塞がらなくて、ただ瞬きを繰り返した。


「ときめきをありがとう、舞千ちゃん!」
「ど、どういたしまして…?」


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