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【鬼滅の刃】私の師範が派手すぎる

第2章 おつかい




「まきをさん、庭の掃除終わりました!」


竹箒を掃除用具の棚に片づけ、手を洗ってから、縁側にいたまきをさんに声をかけた。
雛鶴さん、須磨さんもそこにいて、仲良く湯呑みを手にしているのを見てホッと胸をなでおろした。まきをさんはもう怒っていないらしい。


「お疲れ様、舞千。まったく、須磨がヘマをするもんだから…」
「うぅ、ごめんね舞っちゃん…代わりに掃除してくれてありがとう~っ」
「ほら、もっと目を冷やしなさいな。まだ真っ赤よ?」


また泣き出しそうな須磨さんの、真っ赤な瞼に濡れた布を当てる雛鶴さんが母親のように見えてしかたない。
いいんですよ、と須磨さんに声をかけると「舞千もおいで」とまきをさんに誘われたので、私も三人の隣に座ってお茶をいただいた。

置いてあったお茶菓子は最中だったため、煎ちゃんは私の隣でうたた寝をし始める。
ごめんね、午後まで待ってね。

いただきます!と言ってから、パリッといい音をたてて最中にかぶりつく。甘じょっぱいトロトロの粒あんが、歯触りのいい最中と絶妙に絡んでとっても美味しい。


「白あんも美味しいんだよ~、舞っちゃんに一口あげる!」
「え、いいんですか?ください!」
「本当に美味しいわ。お饅頭じゃなくて、最中にして正解だったかしらね」
「うん、美味しい!天元様の分も残さないと」


四人並んで、私が掃除をしている間に雛鶴さんが買ってきてくれたらしい最中を堪能した。
お茶を啜って、そしてたまに、私に寄り添ってすでに静かな寝息をたてている煎ちゃんを撫でて……ハッ、と私は師範との会話を思い出した。


「あの、私この後ちょっと蝶屋敷に行ってきます」


外出前は、必ず行き先を告げる。
何も言わずに急に出かけると、この人達に心配をかけてしまうからだ。
言えば、三人は分かっていたかのように頷いた。


「そういえば天元様が言っていたね。行ってらっしゃい」
「胡蝶様に美味しいお菓子買っていってあげてね、舞っちゃん!」
「天元様からお金は預かっているから、出かける前に舞千さんに渡すわ」
「ありがとうございます!」


胡蝶さんに柚子のお礼をするのと、師範から預かった封筒を渡す…だけでいいんだよね、と胸の内で確認し、残りの最中を口に放り込んだ。


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